健康診断で「血糖値が高い」「糖尿病の疑いがある」と指摘されると、糖尿病と診断されたのではないかと不安になる方もいるでしょう。しかし、健康診断は病気の可能性がある人を見つけるための検査であり、1回の結果だけでは糖尿病と確定しないケースもあります。
一方、糖尿病は初期には目立った症状が出にくく、健康診断をきっかけに見つかることも少なくありません。血糖値が高い状態を放置すると、血管が傷つき、網膜症や腎症、神経障害のほか、心臓病などにつながる可能性があります。症状がないからといって自己判断で放置せず、検査結果に応じた対応が必要です。
この記事では、健康診断で糖尿病を指摘されたときに確認したい検査項目、数値の見方、再検査や医療機関を受診する目安を解説します。
健康診断で糖尿病を指摘される主な検査項目

健康診断では、主に「空腹時血糖」「随時血糖」「HbA1c」「尿糖」などから血糖の状態を確認します。検査によって示している内容が異なるため、一つの項目だけでなく、複数の結果を組み合わせて見ることが大切です。
空腹時血糖
空腹時血糖は、食事の影響が少ない状態で測定した血液中のブドウ糖の濃度です。特定健康診査では、一般に10時間以上食事を取らずに採血した場合を空腹時とされています。
血糖値は食事や運動、体調などの影響を受けるため、採血前に食事をしていた場合は正確に判定できない可能性があります。結果を見る際は、検査当日の絶食時間や採血時間も確認しましょう。
随時血糖
一般に、随時血糖は食事時間を問わず測定した血糖値を指します。なお、特定健康診査では、食事開始から3.5時間以上、絶食10時間未満に採血したものを随時血糖として扱います。健康診断では原則として空腹時血糖またはHbA1cを調べますが、やむを得ず空腹時以外に採血し、HbA1cを測定しない場合には随時血糖が用いられることがあります。
随時血糖は直前の食事内容や食後の経過時間によって変動します。そのため、数値だけを見るのではなく、採血前に食事をしたかどうかを医師に伝える必要があります。
HbA1c
HbA1cは、血液中のヘモグロビンにブドウ糖がどの程度結びついているかを示す数値です。採血直前の食事だけでなく、おおむね過去1~2か月の平均的な血糖状態を反映します。
血糖値は検査当日の状態によって変動する一方、HbA1cは慢性的に血糖が高くなっていないかを確認するために役立ちます。ただし、貧血、出血、輸血、透析などの影響により、実際の血糖状態と数値が一致しないこともあるため、HbA1cだけで糖尿病と診断することはできません。
・一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
検査結果の見方と糖尿病が疑われる数値

特定健康診査における血糖関連の項目として「空腹時血糖」「HbA1c(NGSP値)」「随時血糖」があります。
生活習慣の見直しや経過観察の対象となる保健指導判定値は、空腹時血糖または随時血糖が100mg/dL以上、もしくはHbA1cが5.6%以上です。保健指導判定値に該当する場合は、将来、糖尿病を発症するリスクが高い状態と考えられます。
| 空腹時血糖 | HbA1c(NGSP値) | 随時血糖 | |
|---|---|---|---|
| 保健指導判定値 | 100mg/dL以上 | 5.6%以上 | 100mg/dL以上 |
・厚生労働省 健康・生活衛生局 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)別紙5(見開き版は添付資料参照)健診検査項目の保健指導判定値及び受診勧奨判定値
再検査が必要なケースと医療機関を受診する目安

空腹時血糖が126mg/dL以上またはHbA1cが6.5%以上は、特定健康診査における受診勧奨判定値です。現在、糖尿病で定期的に通院していない方は、次の健康診断まで待たず、早めに内科や糖尿病内科を受診することが推奨されます。
| 空腹時血糖 | HbA1c(NGSP値) | 随時血糖 | |
|---|---|---|---|
| 受診勧奨判定値 | 126mg/dL以上 | 6.5%以上 | 126mg/dL以上 |
また、次のような場合も受診が必要です。
- 健康診断の結果に「要受診」「要精密検査」と記載されている
- 前年より空腹時血糖やHbA1cが上昇している
- 血糖値とHbA1cの両方が高い
- 家族に糖尿病の人がいる
- 肥満、高血圧、脂質異常症などを指摘されている
- 尿糖陽性が繰り返されている
医療機関では、空腹時血糖やHbA1cの再検査に加え、必要に応じて75g 経口ブドウ糖負荷試験などを行い、糖尿病かどうかを判断します。
・一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
まとめ
健康診断の1回の検査結果だけで糖尿病と確定するとは限りません。ただし、空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c6.5%以上は糖尿病の可能性が高い受診勧奨判定値であり、医療機関での確認が必要です。症状がないからといって放置せず、結果に記載されている指示に従い、再検査を受けたり、医療機関を受診したりしましょう。
健康診断は、糖尿病を早い段階で見つけ、合併症を予防するための機会です。自己判断だけで食事を極端に制限するのではなく、検査結果を持参して内科や糖尿病内科に相談することが大切です。




