医療法人による糖尿病患者のためのコラム2021年7月12日腸内フローラの乱れが糖尿病に影響?善玉菌を増やす食生活を心がけよう
ヨーグルトや納豆は健康食なので、積極的に食べた方が良いという話はよく聞くはずです。それは正解なのですが、なぜ良いのか説明できる人は少ないのではないでしょうか?
腸内にはたくさんの細菌が住み着いていますが、腸内細菌の集団を「腸内フローラ」と呼びます。最近、大学の研究チームが2型糖尿病患者は腸内フローラのバランスが乱れやすいと報告しました。
そこで今回は腸内フローラと糖尿病の関係を探っていきたいと思います。
腸内フローラとは?
人間の腸の中には数多くの腸内細菌が住んでおり、種類は約500~1,000、数はなんと500~1,000兆個と言われています。特に大腸には、たくさんの菌が固まって存在し、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を作っています。腸内細菌叢はお花畑のように見えることから「腸内フローラ(マイクロバイオータ)」と呼ばれているのです。
3種の腸内細菌
腸内細菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」の3つに分類されます。
善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌が代表的な菌で、食物繊維を利用し仲間を増やします。悪玉菌は大腸菌やウェルシュ菌などの腐敗菌が代表。炎症を起こしたり、発ガン性物質を作り出します。
日和見菌は善玉菌が多いときは静かですが、悪玉菌が増えると有害な作用をします。つまり、腸内の善玉菌を増やすと体が好調になるという仕組みなのです。
腸内フローラと2型糖尿病の関係とは?
近年、腸内フローラの働きに驚くべき効能があることが分かってきました。
それぞれの腸内細菌が作る物質には「アレルギー」をはじめ、「肥満」「がん」「老化」、そして「糖尿病」の緩和や改善が期待できることが研究で明らかになったのです。
順天堂大学研究チームの発表では、腸内細菌と2型糖尿病との関係性が発表されました。要約すると以下の3点が明らかになっています。
- 2型糖尿病患者は腸内フローラの割合が乱れている人が多い
- 2型糖尿病患者の血液中から普段は検出されない腸内細菌が出ることが多い
- 腸内フローラの割合が乱れる理由は腸管のバリア機能の低下。そのことから腸内細菌が血液中に流出している可能性がある
そして、2型糖尿病患者の50名中14名の「血液中」に腸内細菌がいたと報告されています。
また、インスリンの働きに腸内細菌が影響を与えていると言われており、腸内環境が整っているとインスリンの分泌が円滑に行われ糖代謝が正常になります。
反対に腸内環境が悪化するとインスリン分泌機能が低下し、糖が上手く行き渡らず血糖値の調節異常になり糖尿病につながるのです。
食物繊維をしっかり取って善玉菌を増やそう!
先述のように、腸内には「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類が存在しますが、現代人の食生活では悪玉菌が多くなりがちです。悪玉菌が優勢になると日和見菌が悪玉菌に変わりバランスが崩れますが、食物繊維を積極的に摂取することで腸内細菌のバランスを整えることができます。
また、食物繊維を含む野菜を食事の最初に食べると、血糖値の上昇が緩やかになります。厚生労働省が推奨している1日の野菜摂取目標は350g以上ですが、目標値ギリギリでは足りないので、できるだけ多く摂取することを心がけましょう。さらに、キノコや海藻類もプラスして、1日20gの食物繊維摂取を目標にしてください。
こんな食材も善玉菌に働きます
ヨーグルト、甘酒、ぬか漬け、味噌などの「発酵食品」は腸内の善玉菌のエサになると言われています。また、はちみつ、タマネギ、大豆などの食品は「オリゴ糖」を含み、腸内の善玉菌を増やすと言われています。
まとめ
腸内フローラを整えることは糖尿病の予防はもちろん、便秘や大腸がんなどの予防することにもつながります。
ただし、糖尿病治療として腸内フローラを整える方法は、まだ研究段階です。主治医にじっくり相談して食生活を変えていきましょう。
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必ず主治医の先生にご相談ください。
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