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医療法人による糖尿病患者のためのコラム2021年6月11日【要チェック!】血糖値の上昇を抑える飲み物・注意したい飲み物とは

血糖値の上昇を穏やかにする飲み物として、お茶や牛乳、コーヒーなどがあります。血糖値の上昇を穏やかにしてくれる理由としては、お茶に含まれるカテキンやコーヒーに含まれるポリフェノールなどの成分、食品のGI値が関係しています。

また、反対に血糖値を急激に上げやすく、注意が必要な飲み物も存在します。糖分の多いジュースはもちろん、100%果汁ジュースでも血糖値が上がります。アルコールも過剰に飲むと血糖コントロールが不良となるので注意が必要です。

今回は、血糖値の上昇を穏やかにし、上げにくくする飲み物、反対に急激な血糖値の上昇に注意したい飲み物について、その飲み方のポイントと一緒に詳しくみていきましょう。

血糖値の上昇を抑える飲み物1:お茶

お茶の中でも緑茶に含まれるカテキンは殺菌作用やインフルエンザの予防作用、消臭作用など、さまざまな作用があることが知られています。そんな多様な作用を持つ茶カテキンには、血糖の上昇を抑える作用もあると言われています。

血糖値の上昇を抑えるお茶には、緑茶だけでなく紅茶やヤーコン茶、グァバ茶、桑の葉茶、黒豆茶などがあります。

それぞれのお茶と血糖値を抑える作用についてみていきましょう。

緑茶

緑茶に含まれる茶カテキンは糖類の消化に関与する消化酵素の働きを阻害して、糖の吸収スピードを穏やかにすることが言われています。糖の吸収スピードが穏やかになることで、血糖の上昇も緩やかとなります。

また、茶カテキンを糖分を摂取する前に摂取すると、血糖値の上昇が抑えられたという研究結果もあります。

茶カテキンは血糖値の上昇を抑える作用に加えて、血圧の上昇を抑える作用、血中コレステロール濃度の上昇を抑える作用、体脂肪を抑える作用もあり、糖尿病発症や血糖コントロール不良の要因となる肥満、脂質異常症、高血圧を抑制する作用もあります。

参考文献:茶カテキン類の機能性とそれらの応用例

紅茶

紅茶に含まれる紅茶ポリフェノールも茶カテキンと同じく、糖類の消化に関与する消化酵素の働きを阻害します。糖の吸収スピードが穏やかになることで、血糖値の急激な上昇を抑えます。

ただし、紅茶を飲むときに砂糖やミルクをたくさん入れるともちろん血糖値は上がってしまいます。紅茶を飲むときは、ぜひ無糖で楽しむようにしましょう。

ヤーコン茶

ヤーコンとはアンデス高地原産のキク科の植物で、食用とされる根っこの見た目はサツマイモによく似ています。また、ヤーコンの葉や茎はお茶として利用されます。

ヤーコンはフラクトオリゴ糖がたくさん含まれており、甘みがありますが血糖値の上昇は招かないと言われています。食物繊維が含まれていることにより、糖の吸収が穏やかになるのです。

ヤーコンの葉を熱湯抽出したものには、インスリンと同様の効果があると言われており、食後の血糖値の上昇を防ぐことも言われています。血中コレステロールや中性脂肪が減ったという研究結果もあり、血糖値を抑えるだけでなく肥満予防の効果も期待できます。

参考文献:旬のやさい:ヤーコン

グァバ茶

グァバはフトモモ科の植物で、アジアやアフリカ中南⽶などで下痢などの薬として民間療法で用いられています。

グァバの葉を熱湯抽出したものは糖質分解酵素の働きを阻害し、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。

桑の葉茶

蚕の餌として知られている桑の葉は、糖質分解酵素の働きを阻害して糖の吸収を穏やかにするため、食後の高血糖を抑えます。

また、桑の葉には抗酸化作用もあり、臓器の酸化ストレスが緩和することで血糖コントロールが改善することも言われています。

参考文献:クワの研究最前線

黒豆茶

黒大豆ポリフェノールにはエネルギー代謝を活発にする作用があり、肥満や高血糖を予防すると言われています。

血糖値を下げるお茶

血糖値の上昇を抑える飲み物2:牛乳・乳製品

牛乳を飲むと血糖値の急激な上昇が抑えられる言われています。お茶は何となく身体に良さそうなイメージがありますが、牛乳は乳脂肪が多く、どちらかというと血糖値を上げそうなイメージがありますよね。

牛乳を飲むと、一体どのような作用が血糖値にはたらくのでしょうか?詳しくみていきましょう。

食事はコップ1杯の牛乳と

食事だけをとる場合と食事時にコップ1杯の牛乳を飲む場合とを比べると、コップ1杯の牛乳を飲んだ場合の方が、食後の血糖値が上がりにくいという研究報告があります。

なぜ、牛乳を食事時に飲むと血糖値の上昇が抑えられるのでしょうか?それはGI(グライセミック・インデックス)が関与しています。

GIとは、その食品がどのくらい糖質を吸収するかの指数です。カロリーに関係なくGIが高い食品ほど血糖値が上がりやすく、GIが低い食品ほど血糖値の上昇が緩やかになります。

牛乳は低GI食品の代表です。牛乳に含まれる乳糖は分解されるのに時間がかかるので血糖値の上昇が緩やかになるのです。

牛乳を飲むときのポイント

血糖値の上昇を抑えるために、食事と一緒に牛乳を摂ることがおすすめです。

ただし牛乳の飲みすぎは、脂肪の摂りすぎにつながります。コップ1杯程度にとどめておきましょう。できれば低脂肪の牛乳を選ぶことをおすすめします。

また、ヨーグルトに含まれる乳清たんぱく質(ホエイ)もインスリンの分泌を促す作用があり、血糖値を下げると考えられています。牛乳が苦手な方は、ヨーグルト1個を食事の時に食べてもよいでしょう。加糖のタイプは血糖値を上げるので無糖のタイプを選びましょう。また腎機能が低下している⼈や透析患者さんでは、⽜乳や乳製品の摂取には注意が必要です。どの程度の量をとっていいかなど、主治医や管理栄養⼠に相談しましょう。

低 Glycemic Index 食の摂取順序の違いが食後血糖プロファイルに及ぼす影響

コップ一杯の牛乳

コーヒーは血糖値に効果的?

続いては、コーヒーと血糖値の関係についてみていきましょう。

コーヒーは食事と一緒に飲むと食後の急激な血糖値の上昇が抑えられ、コーヒーを飲む習慣のある人は糖尿病の発症リスクが低いことが言われています。

コーヒーを飲む習慣のある人は糖尿病になりにくい

コーヒーにはカフェインが含まれており、カフェインを摂ると一時的に血糖値が上昇し、インスリンの作用が効きにくくなることが言われています。

しかし、長期的にみるとコーヒーを飲むことで食後の血糖値上昇が抑えられ、糖尿病の発症リスクが低下するという研究結果がみられています。日常的にコーヒーを飲む習慣は糖尿病を予防すると言えます。

コーヒーの種類は、カフェインが含まれている普通のコーヒーとカフェインレス(デカフェ)コーヒーのどちらでも食後の血糖値の上昇が抑えられ、糖尿病の発症リスクも低下するとされています。

一体なぜインスリンの作用が効きにくくなるにも関わらず、血糖値の上昇が抑えられるのでしょうか?

コーヒーが糖尿病を予防する理由

コーヒーが血糖値の上昇を抑えるのは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸類のポリフェノールが関連していると考えられています。

クロロゲン酸類を含むコーヒーは、糖質分解酵素の働きを阻害して糖質の吸収を穏やかにし、食後の血糖値を上昇しにくくするとされています。

血糖値上昇を抑えるコーヒーの飲み方

いくらコーヒーが血糖値上昇を抑えるといえども、砂糖たっぷりのコーヒーは血糖値を上げ、毎日甘いコーヒーを習慣的に飲むことで肥満を招きかねません。

コーヒーは無糖(ブラック)か、砂糖を入れずに牛乳を入れたものがおすすめです。コーヒーフレッシュや生クリームには、牛乳と同じ効果はないので多用は避けましょう。

海外の研究では、コーヒーを1日7杯以上飲む人は2杯未満の人に比べて糖尿病の発症リスクが半分以下という報告もあります。

ただし、カフェインの摂りすぎは睡眠障害やめまい、興奮、不安、吐き気、下痢、心拍数増加などの症状がみられることもあります。

カナダ保健省や欧州食品安全機関(EFSA)では健康被害のない1日のカフェイン量の目安を400 mgまでとしており、マグカップに入ったコーヒーであれば3杯程度が目安とされています。

血糖値の抑制効果があるからといって、コーヒーの飲み過ぎはよくありませんので注意しましょう。

また、コーヒーを飲むタイミングは食事と一緒に摂るのがおすすめです。食前、食後にコーヒーを飲むのに比べ、食後の血糖値の症状が抑えられると言われています。

参考文献:全日本コーヒー協会

血糖値とコーヒーの関係

血糖値を上げる飲み物:清涼飲料水・アルコール・ジュース

続いては、血糖値を急激に上昇させる恐れのある飲み物についてみていきましょう。

血糖値を上げる飲み物の代表は清涼飲料水、アルコール、ジュースがあります。それぞれどのように作用して血糖値が上がるのかをみていきましょう。

血糖値を上げる飲み物1:清涼飲料水

ペットボトル症候群がよく知られているように、糖分が多く含まれている清涼飲料水を短時間で多量に飲むと高血糖を引き起こします。糖尿病の方の場合には、意識障害を生じる急性合併症を発症することもあるので注意が必要です。

甘いジュース類、砂糖やミルクの入った紅茶やコーヒーなどは、糖分が多く含まれているGI値の高い飲み物です。

甘いジュース類は飲むと高血糖になります。高血糖になると喉が渇き、さらに水分が欲しくなります。喉の渇きを甘いジュース類を飲んで潤そうとすると、さらに高血糖になるという悪循環を引き起こしてしまいます。

水分をとるときや喉が渇いたときは、甘い飲み物ではなくお茶や水を選ぶようにしましょう。

血糖値を上げる飲み物2:アルコール

アルコールを摂ると、肝臓の中のグリコーゲンをブドウ糖へと分解する作用が促進され、一時的に高血糖となります。

また、お酒を飲むときには、一緒に食べる脂質やカロリーの高いおつまみによって高血糖になりがちです。

さらにアルコールを過剰に摂取することで膵臓や肝臓の機能低下をきたすと、血糖のコントロールが悪くなり、高血糖ばかりでなく低血糖を引き起こすこともあります。

食事を摂らずにアルコールを摂取すると肝臓でのグリコーゲンの蓄えが減り、グリコーゲン以外から糖を作り出すことも抑えられて低血糖発作を起こすこともあります。

糖尿病があると血糖コントロールが不良となりやすいので、糖尿病治療中の飲酒は原則禁酒が基本とされます。

参考文献:e-ヘルスネット

血糖値を上げる飲み物3:100%ジュース

果汁100%ジュースやスムージーは身体に良さそうなイメージがありますが血糖値の面からみるとどうでしょうか。

実は、果物に含まれる果糖は吸収されやすく、ジュースにして一気に飲むと血糖値が上がりやすくなります。

また、果物をそのまま食べると糖尿病の発症リスクが低下したのに対して、フルーツジュースを飲んでいる人は糖尿病の発症リスクが高くなったという研究結果もあります。

野菜でも同様のことが言えます。野菜や果物は、野菜ジュースや果物ジュースの液体の形で摂取するのではなく、食物繊維が豊富なそのままの状態でしっかり噛んで時間をかけて食べることが大切です。

血糖値を上げるジュース

まとめ

いかがでしたか?今回は血糖値の上昇を抑える飲み物、反対に血糖値の急激な上昇に注意したい飲み物についてみていきました。

牛乳であればコップ一杯、コーヒーであれば一日に2~3杯摂取することで血糖値抑制に効果的です。

また、反対に血糖値を上げる飲み物は上手に付き合うようにしましょう。喉が乾いたときにはできるだけお茶やお水を飲み、急激な血糖値上昇を引き起こす甘い飲み物は避けるようにしてくださいね。

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