新年を迎える際、日本では多くの家庭が伝統的なおせち料理を用意します。色とりどりで、見た目にも美しいおせちは、新年を祝う象徴となりますが、糖尿病患者は特に注意が必要です。この記事では、おせち料理が糖尿病患者に向かない理由を解説し、安心して食べられるレシピを紹介します。
また、年末年始の生活に関するアドバイスも合わせてお伝えします。
おせち料理が糖尿病患者に向かない理由
おせち料理には、伊達巻や栗きんとん、黒豆などの砂糖や醤油で甘く味付けされた料理が多く含まれます。これらの食材は、血糖値が大きく上昇する可能性があるため、糖尿病患者は気を付けなければならない料理です。
また、おせち料理は保存食としての役割も持っているので、数の子、かまぼこ、昆布巻き、田作り、海老のうま煮など、高血圧のリスクとなる塩分の高い料理が多いのも特徴です。
レンコンや里芋などの根菜類が多く使われており、お雑煮のお餅とともに糖質も高くなりがちです。おせち料理ばかりをたくさん食べずに、おせち料理は少しだけにして、バランスのとれたメニューを食べるなどして、栄養が偏らないようにしましょう。
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/277101
https://allabout.co.jp/gm/gc/472283/
糖尿病でも食べられるおせちレシピ
糖尿病患者向けのおせち料理は、砂糖の代わりにステビアやラカンカなどの天然甘味料や糖の吸収スピードが穏やかなオリゴ糖を使用したり、塩分を控えめにしたりすることがポイントです。
一例として、柿を使ったヘルシーで自然な甘みの紅白なますレシピを紹介します。
紅白なます(1人分)
材料:
- 大根: 40g
- 人参: 20g
- 柿: 30g
- 炒り白ごま: 0.5g
- 酢: 小さじ1+1/2
- 薄口醤油: 小さじ1/2
作り方:
- ① 大根と人参を細切りにします。
- ② 柿も細切りにして、大根と人参と混ぜ合わせます。
- ③ 別のボウルで、酢、薄口醤油をよく混ぜ合わせます。
- ④ ➂の調味液を➁の大根、人参、柿にかけてよく和えます。
- ⑤ 最後に炒り白ごまを上から振りかけます。
糖質や塩分を抑えたお正月用のかまぼこや伊達巻、昆布巻き、田作りなども市販されていますので活用するのも良いでしょう。
https://dm.medimag.jp/recipe/482.html
年末年始はこんなコトにも気をつけましょう
年末年始は普段とは異なる生活リズムとなり、食生活も乱れやすい時期です。クリスマスや忘年会などのイベントが続き、外食の機会が増えている方もいらっしゃるかもしれません。糖尿病の方は年末年始に次の点にも注意しましょう。
食事療法の継続
血糖値の評価に使われるHbA1cの値が、日本の糖尿病患者では1~3月の冬の時期に高くなることが報告されています。1)お正月の間も日頃の食生活のリズムを守り、バランスの良い食事を心がけることが大切です。糖質が含まれるみかんなどの果物や甘いものも摂りすぎに注意しましょう。
アルコール摂取は、1日約20~25gのアルコール摂取は糖尿病の発生を低減すると言われていますが、それ以上のアルコール摂取はインスリンの分泌を抑えて血糖値を上昇させるリスクがあると考えられています。アルコールの摂りすぎには気を付けましょう。
薬やインスリン注射の管理
食生活が不規則になってしまうと薬を飲む時間がずれたり、忘れたりが起こりやすくなります。また、年末年始は病院が長期休みに入るので、薬やインスリン注射の在庫を確認し、薬のもらい忘れがないようにしましょう。
感染症予防対策
冬場は感染症が流行りやすい時期です。外出時は人込みを避けるようにし、マスクの着用や手洗い、うがいを徹底しましょう。
運動の継続
利用している運動施設が長期休みになる場合もあると思いますが、食後の散歩などの軽い運動を続けましょう。
質の良い睡眠と休息
夜更かしをせずに、規則正しい睡眠を心がけて睡眠の質を保つことが大事です。ストレスを溜めないためにも、イベントを詰め込みすぎずに休息を取ることも重要です。
Tadashi Iwao, Kenji Sakai & Eiji Ando. Seasonal fluctuations of glycated hemoglobin levels in Japanese diabetic patients: effect of diet and physical activity. Original Article
Vol 4, 173–178, (2013)
まとめ
糖質や塩分の多いおせち料理は、調理の工夫をしたり、食べる量を調節したりして楽しむことが大事です。冬の時期は日本人の糖尿病患者の血糖コントロールが悪くなることが報告されています。年末年始も生活リズムや食生活のリズムを乱すことなく、血糖値の管理をしっかりと行いながら健康的に過ごしましょう。