みなさんは「グルテンフリー」という言葉をご存知ですか?グルテンフリーは2016年に男子テニス界で史上8人目となるグランドスラムを達成したノバク・ジョコビッチ選手が実践している食事法として注目されるようになりました。
ジョコビッチ選手は試合中に失神するといった体調不良に悩まされていましたが、グルテンフリーの食事によってそれを克服。世界ランキング1位に輝くことができたのです。
このグルテンフリー、実は糖尿病とも深い関係があるのです。
そもそもグルテンフリーとは?
グルテンとは、小麦・大麦・ライ麦などに含まれているタンパク質の一種。パンやうどんなどのもちもちとした食感はグルテンの働きによって作り出されています。
グルテンフリーとはグルテンを摂取しないこと。つまり、パン・ラーメン・パスタといった小麦から作られる製品を食べないという食事法です。
でも、なぜそれがジョコビッチ選手の快進撃につながったのでしょう?
グルテン不耐性で起こる体の不調
近年、グルテンが体の不調につながるケースがあることが分かりました。人間の中には、「グルテン不耐性」と呼ばれるグルテンアレルギーを持つ人がいます。
グルテン不耐性の人はグルテンを摂取しても、うまく消化吸収できません。そのせいで、慢性的な疲れや下痢、便秘や集中力の低下、喘息にアトピーといった症状を引き起こしてしまうのです。
ジョコビッチ選手もグルテン不耐性だったため、栄養学の専門家のアドバイスに従いグルテンフリーの食事に切り替えました。すると体の不調が治まり、好成績を残せるようになったのです。
グルテンフリーが糖尿病患者や予備軍に良い理由
実はこのグルテンフリー、グルテン不耐性の人だけでなく糖尿病患者や糖尿病予備群の方にもお勧めの食事法なのです。
グルテンを多く含む小麦には、「アミロペクチンA」という血糖値を上昇させる成分が含まれています。そのため小麦を多く摂取していると、糖尿病になりやすいといわれています。またグルテンには中毒性があるため、食欲を抑えづらくなるという作用もあります。
グルテンフリーの食事ならアミロペクチンAの摂取量も抑えられます。血糖値への影響が少ないグルテンフリーは、糖尿病患者さんには非常に適した食事法なのです。
糖質制限とグルテンフリーの違い
糖尿病治療に適した食事というと、糖質制限食を思い浮かべる人も多いことでしょう。
しかし、グルテンフリーは糖質制限食とは違います。糖質制限食では炭水化物全般の摂取を控えますが、グルテンフリーでは米やそばは食べても大丈夫なのです。
ただし、いくらグルテンフリーだからといって米やそばを無制限に食べていいわけではありません。肉や魚などのタンパク質を中心に、野菜類もバランスよく食べてミネラルやビタミンを摂取するようにしましょう。
グルテンフリーを実践するなら知っておきたい食材リスト
グルテンを多く含む食材
グルテンが多く含まれる食材は味が濃いものや加工食品が多いようです。
小麦製品 | パン、パスタ、ラーメン、カツや天ぷらの衣、餃子やシュウマイの皮 |
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加工食品 | プロセスチーズ、インスタントコーヒー、ちくわ、はんぺん、ソーセージ |
アルコール | ビール、ウイスキー、スコッチ、ウォッカ、ジン、麦焼酎 |
スイーツ | ケーキ、アイスクリーム |
調味料※ | マヨネーズ、ケチャップ、ドレッシング、コンソメ、中華調味料、醤油 |
※成分表示欄に加工でんぷん・大豆タンパク質・植物性タンパク・酵母エキス・麦芽デキストリン・カラメル色素・アミノペプチド・加水分解物・トコフェロール等が書かれている場合
グルテンを含まない食材
グルテンフリーで食べられる食材は一般的なイメージで体に良さそうなものが多いようです。
穀物 | 米、そば、とうもろこし、ソルガムキビ、キヌア |
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ナッツ類 | アーモンド、ココナッツ |
大豆製品 | 納豆、豆腐、豆乳、油揚げ、凍り豆腐 |
その他 | 野菜、果物、卵、精肉、魚類、乳製品、しらたき、葛切り、糸こんにゃく、寒天、米粉で作られたパンやパスタ |
まとめ
一般的な加工食品には、小麦が使用されているものが数多くあります。本格的にグルテンフリーの食事を心がけるなら、素材を吟味して自分で調理しなければなりません。
しかし、その労力や手間に見合うだけの効果が期待できます。ジョコビッチ選手を世界一に導いたグルテンフリーを糖尿病のリスク削減や血糖コントロールに上手く役立ててみてください。