糖尿病になるきっかけとしては.食べ過ぎ・飲み過ぎ・運動不足といった生活習慣が知られています。
しかし近年、もうひとつの大きな要因が注目されるようになりました。それこそがストレス。じつは、ストレスと糖尿病には深い関係があるのです。
ストレスにさらされ続けると、糖尿病になる!?
ストレスにさらされると、脳は「普段とは違う緊急事態だ」と判断します。そして体も、鼓動が早くなる・汗が出る・口が渇く・手足が震えるといった、普段とは違う反応を示します。その反応のひとつとして、血糖値が上昇することがあります。
ストレスを感じたときに血糖値が上昇する人が、強いストレスにずっとさらされ続けるとどうなるのでしょうか。当然、血糖値が高くなったままの状態が続きます。それが糖代謝異常を引き起こすきっかけとなってしまうのです。
同じようなストレスにさらされたからといって、誰もが同じ反応を示すわけではありません。ただ、ストレスによって血糖値が上昇する人は、糖尿病になりやすい体質だと考えられます。
このように、糖尿病とは一見関係の無さそうなストレスですが実は日常生活いおいて大きく関係しているのです。
ストレスに深く関係している3つの「C」
臨床精神医学の権威で、皇太子妃雅子様の主治医としても知られている精神科医の大野裕博士は、ストレスに対処するための「3つのC」を提唱しています。
3つのストレスC:CONTROL(コントロール)
「いくら働いても給料が上がらない」といった自分ではコントロールできない状態になったとき、人はストレスを感じます。これは趣味に没頭するなど、自分がコントロールできるものに打ち込むことで軽減できます。掃除や料理なら行動の成果が目に見えるので、コントロールできたという実感に繋がります。
3つのストレスC:COMMUNICATION(コミュニケーション)
コミュニケーションが上手くいかないことも、ストレス原因のひとつ。悩みを家族や友人に話すことで、気分をすっきりさせるという人がいます。
これは、コミュニケーションをとることで、ストレスを軽減させているのです。話せる人がいない場合は、日記などに悩みを書いてみるのもいいでしょう。
3つのストレスC:CONGITTON(コグニション)
コグニションとは日本語で「認知する」ということ。自分が置かれている状況を知り、受け入れることがコグニションです。自分の置かれている状況が分からないと、どう行動していいか分からずストレスを感じてしまいます。
事態を正確に把握して理解を深めることが、ストレスの解消につながります。
糖尿病の治療自体がストレス原因になる?
食事療法は、糖尿病の有効な治療のひとつです。ところが、その治療法自体がストレスになってしまうこともあるのです。健康日本21推進フォーラムが実施した意識調査では、糖尿病の患者さんの4人に3人以上が食事制限にストレスを感じているという結果になりました。
その理由として半数以上の人が挙げたのが、「食べたい量を食べられない」「甘い物が食べられない」です。食事療法から来るストレスを溜め続けると、反動で暴飲暴食の衝動も強まってきます。適度にストレスを解消しないと、食事療法の効果も上がらなくなってしまいます。
「もっとたくさん食べたい」という場合は、ゴボウなどの硬くて歯ごたえがあり、食物繊維の多い食品を増やしてみましょう。硬いものは噛む回数が増えるのでその分満腹感を得やすくなります。「甘い物が食べたい」という場合は、食事量を調整して、デザートをとる日を作ってみましょう。デザートには洋菓子よりも、カロリーが低めの和菓子が向いています。
まとめ
ストレスは糖尿病のきっかけのひとつです。でも、糖尿病はいくつもの要因が重なりあって発病するもの。ストレスがなくなれば糖尿病が好転するとは限りません。
ただし、厳格に食事や運動をしすぎることで過度にストレスを感じてしまっては糖尿病の悪化につながる原因となります。糖尿病を悪化させないためにも、ストレスはできる限り解消していきましょう。そのためにも、3つの「C」を念頭におき上手にストレスと向き合うようにしましょう。