血糖値がどのくらい高いと入院レベル?基準と症状の目安

血糖値がどのくらい高いと入院レベル?基準と症状の目安

健康診断で血糖値の高さを指摘されたものの、「どのくらいの数値になったら危険なのか」「入院が必要になるケースはあるのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。血糖値は食事や運動によって常に変動していますが、異常な高血糖状態を放置すると、命に関わる深刻な事態を招くこともあります。

本記事では、血糖値の正常値から危険な状態である入院レベルの数値や状態、そして入院治療の具体的な内容までを詳しく解説します。ご自身の血糖値と向き合い、これからの健康管理を考えるきっかけとなれば幸いです。

血糖値の正常値と境界値のおさらい

血糖値の状態を正しく把握するために、まずは診断の基準となる数値を確認しましょう。 空腹時血糖値と75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験で負荷後2時間血糖値)の組み合わせによって、「正常型」「境界型」「糖尿病型」に分類されます。

境界型は、血糖値が正常型と糖尿病型の間にあり、どちらにも分類されない状態を指します。境界型の状態で生活習慣を見直すことが、糖尿病への進行を予防する上で非常に重要です。

正常型

空腹時血糖値が110mg/dL未満かつ、75gOGTTの2時間値が140mg/dL未満の状態です。ただし、空腹時血糖値が100〜109mg/dLの場合は正常高値とされ、注意が必要な範囲とされています 。

境界型

空腹時血糖値が110~126 mg/dL未満かつ、75gOGTTの2時間値が140~200mg/dL未満の状態です。

糖尿病型

空腹時血糖値が126mg/dL以上、75gOGTTの2時間値が200mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上のいずれかであり、過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映するHbA1cが6.5%以上を満たす場合です。血糖値またはHbA1cのいずれかのみを満たす場合は再検査を経て判断が下されます。

日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024

入院が検討される血糖値の目安

「血糖値が〇〇mg/dLになったら絶対に入院」という単一の明確な基準があるわけではありませんが、血糖値の数値とそれに伴う症状を総合的に見て、医師が入院の必要性を判断します。

入院

血糖値が高い場合(高血糖)

血糖値が高すぎる場合、特に注意が必要なのは、糖尿病の方が風邪などで体調を崩すシックデイ(体調不良時)の時です。シックデイでは食事ができていなくても、病気というストレスと戦うために、体内で血糖値を上げるホルモンが分泌されます。

その結果、インスリンがうまく働かずに体がエネルギー不足に陥り、代わりのエネルギー源として脂肪を分解し始めます。この時に産生されるのがケトン体という酸性の物質です。ケトン体が体に溜まると糖尿病ケトアシドーシスとなり、命に関わるため緊急入院が必要です。

糖尿病治療ガイド2018-2019では、シックデイ時に入院加療が必要な目安として、「高熱が続き、尿ケトン体強陽性または血中ケトン体高値 (3mM以上)、血糖値が350mg/dL以上のとき」1)と示されています。

血糖値が異常に高くなると、体は深刻な脱水状態に陥り、意識障害などを引き起こす危険な合併症(糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群)につながることがあります。極度の喉の渇き、吐き気・嘔吐、意識がもうろうとする状態、呼吸が荒くなるなどの症状が見られる場合は、血糖値だけにかかわらず緊急入院が必要です。

血糖値が低い場合(低血糖)

血糖値が下がりすぎると、脳にエネルギーが供給されなくなり、昏睡状態に陥るなど命に関わります。

症状として、発汗や動悸といった自律神経のサインのほか、糖尿病治療ガイド 2018-2019では「血糖値が50mg/dL程度に低下したことにより生じる症状」1)として「頭痛、目のかすみ、空腹感、眠気(生あくび)など」1)があげられています

「50mg/dL以下ではさらに意識レベルの低下、異常行動)、 けいれんなどが出現し昏睡に陥る」1)とあり、けいれんを起こしたり、呼びかけに反応しなくなったりする意識障害があれば、血糖値の数値にかかわらず直ちに入院による治療が必要です。

1)日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2018-2019

入院治療で行うこと

点滴

血糖値が高すぎる場合は、体が極度の脱水状態に陥っているため、まずは点滴で水分と体内のミネラルバランスを補給し、体の循環を安定させます。同時に、血糖値を体に負担のかからない範囲まで下げるためにインスリンの投与も行われます。

一方で、血糖値が低すぎて意識がない場合は、一刻も早く脳のエネルギー源であるブドウ糖を補給することが必要です。そのため、点滴でブドウ糖を直接投与し、速やかに血糖値を上昇させて意識の回復を図ります。

いずれの場合も、危険な状態を脱した後は、原因を探り、再発を予防するために薬の調整や生活習慣の見直しなどが行われます。

日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2018-2019

まとめ

血糖値が高すぎても低すぎても、意識障害や昏睡といった命に関わる事態につながる可能性があります。入院レベルであるかどうかは数値だけで決まるものではなく、症状や全身状態を総合的に見て判断されます。
強い喉の渇きや吐き気、意識がもうろうとする、けいれんや呼びかけに反応しないなどの症状があれば、迷わず速やかに医療機関を受診しましょう。日常的に血糖値の管理を続けることが、重症化の予防につながります。不安な症状があるときは自己判断せず、早めに医師へ相談しましょう。

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