医療法人による糖尿病患者のためのコラム2023年11月17日糖尿病と自覚症状について~セルフチェックリスト付き~
糖尿病がどのような病気かをご存じですか?初期は自覚症状が出にくいため、糖尿病であることに気づかないまま症状が進行していくことも少なくありません。
ある時、突然重篤な状態を引き起こす可能性もあるため、糖尿病の症状や予防について知り、糖尿病の発症や進行を予防しましょう。早期発見に役立つセルフチェックリストもご活用ください。
糖尿病と自覚症状について
糖尿病は、インスリンの分泌不足や作用の低下によって血糖値が高い状態が続く病気です。初期段階では自覚症状が出にくいため、気づかずに進行することがあります。
血糖値が高い状態が続くと、血管や神経が損傷を受けて糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害の3大合併症が起こりやすくなります。具体的な症状としては、糖尿病性網膜症では視力の低下、糖尿病性腎症では腎臓の機能低下、糖尿病性神経障害では手足のしびれや感覚の低下などの症状が見られます。
さらに、高血糖によって大きな血管も障害されると、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞・脳出血などのリスクも高まります。糖尿病は、初期の段階では自覚症状に乏しいので、網膜症による失明や神経障害による足壊疽、腎障害による透析導入、心筋梗塞や脳卒中などがある日突然起こり得ることもあります。
糖尿病セルフチェックリスト
糖尿病の初期は自覚症状が出にくいため、日頃から身体の状態の変化を意識して、早期に適切な治療につなげることが大切です。下記のリストの症状は、糖尿病によってみられる症状です。
セルフチェックリスト
下記に当てはまる症状がある場合には、一度受診して相談してみましょう。
- トイレの回数が増えた、尿の量が多くなった
- よく喉が渇く
- 疲れやすい、身体がだるい
- 食べてもお腹がすく
- 目がかすむ、視力が低下した
- やたらと喉が渇く
- 家族や親戚に糖尿病の人がいる
- 手足のしびれや痛みがある、よく足がつる
- めまい、立ちくらみをおこしやすい
- 足がむくむ
- 傷が治りにくく、感染しやすい
健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT
公益社団法人 日本糖尿病協会 糖尿病の合併症
糖尿病診療ガイドライン2019
糖尿病を未然に防ぐために気をつけたいこと
糖尿病は、一度発症すると完全に「治る」という状態にはなりません。血糖値が高くなりやすい体質が変わることはなく、適切な生活習慣と治療によって、血糖値が高くならないようにコントロールし続ける必要があるからです。
糖尿病による血管の損傷は徐々に進行していきますが、血糖コントロールにより、症状の進行を抑えて健康な状態を維持しやすくなります。そのため、糖尿病は発症しないように、次のことに気を付けて未然に予防することが大切です。
栄養バランスのとれた食事
食事で糖分を摂りすぎると、血液中のブドウ糖が増えて高血糖になり、余ったブドウ糖は脂肪分として蓄えられます。食事は食べすぎずに炭水化物・たんぱく質・ビタミン・ミネラル・脂質をバランスよく食べることが大切です。野菜を多く食べて脂っこいものや甘いもの、アルコールは控えましょう。
運動習慣をつける
運動すると筋肉のインスリンが感受性を高めて身体のエネルギー代謝を改善するので、血糖コントロールを行いやすくなります。肥満の予防にもなりますので、積極的に体を動かしましょう。身体を動かすことには、ストレスの緩和効果もあります。
ストレスとうまく付き合う
ストレスがかかると血糖値の上昇に影響するホルモン分泌が増え、血糖値を下げる働きのあるインスリンが聞きにくくなる場合もあります。ストレスを感じたら、休息を取り、好きなことをしてリフレッシュするなど、自分に合った方法でケアすることが大切です。
定期健診を受けて健康をチェックする
糖尿病は自覚症状が出ないまま進行していくため、定期的に検査を受けて早期発見・早期治療につなげることが重要です。
まとめ
糖尿病は初期段階では自覚症状が少なく、自分では気づきにくい病気です。自覚症状としては疲労感、頻繁な尿意、多尿、喉の渇き、視力の低下などがあります。セルフチェックリストを活用して、当てはまる症状がないかチェックしてみましょう。糖尿病は発症すると徐々に進行していきます。食事に気を付け、運動習慣を持つとともに定期的な健康診断でリスクを知り、万が一、発症しても早期に適切な対応が取れるようにしておきましょう。
※
必ず主治医の先生にご相談ください。
※Oasisコラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。
※当ブログの記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねます。ご了承ください。