医療法人による糖尿病患者のためのコラム2022年11月4日人工透析の原因第1位!糖尿病性腎症ってどんな病気なの?
糖尿病性腎症を引き起こす最大の要因は高血糖、つまり糖尿病です。
血糖のコントロールがきちんとできていれば問題はありませんが、それができずに高血糖状態が長く続くと、やがて糖尿病性腎症を発症し、人工透析を生涯にわたって続けなければならなくなってしまいます。
糖尿病性腎症って?
透析治療を始めると日常生活が制限されるだけでなく、経済的にも負担になりますから、何としても避けたいものです。
なぜ、糖尿病は糖尿病性腎症を引き起こしてしまうのでしょうか。糖尿病性腎症が起こる仕組みと、その予防法を見ていきましょう。
糖尿病性腎症の仕組みとは
血糖が高い状態が長く続くと、しだいに腎臓の機能が低下し、やがて尿が作れなくなって血液中の老廃物を体の外に排出できなくなります。これが糖尿病性腎症です。糖尿病性腎症が進行して腎不全になると、本来は尿として排出される老廃物を人工透析という形で体の外に出さなければならなくなってしまいます。
高血糖が続くと腎臓のろ過機能が低下する
腎臓は血液をろ過して老廃物を取り除き、血液をきれいに保つ大切な働きをしていますが、血糖が高い状態が続くと血液をろ過する機能が低下してきます。
血液をうまくろ過することができなくなると、老廃物が残ったままの血液が体中を巡ることになりますので、体のあちこちに悪い影響が出てくるようになります。では、なぜ血糖が高い状態が続くと、血液をろ過する機能が低下するのでしょうか。
腎臓には「糸球体」と呼ばれる、血液をろ過する装置があります。糸球体は、細かな血管が集まって塊になった組織で、糸を丸めた玉のような形をしていることからその名が付けられました。
糸球体は非常に網目の細かい「ざる」のような構造をしていますが、血糖が高い状態が続くと、糸球体の血管がダメージを受け、やがて網目が目詰まりを起こしてしまいます。こうなると、糸球体は血液をうまくろ過することができなくなり、老廃物を取り除くことができなくなってしまうのです。
糖尿病による高血糖で腎臓の血管もボロボロに
糖尿病は別名「血管病」と呼ばれるほど、血管と深い関わりがあります。糖尿病とは血糖が高い、つまり血液の中にブドウ糖がたくさん含まれている状態のことです。ブドウ糖をたくさん含んだ血液は、砂糖水のようにドロドロとしていて流れにくく、血管の内側の壁にもべっとりとくっついてしまいます。
いわばガリガリとした砂糖の塊が血管の内側に張り付いているようなものです。そうなると血管は次第に硬くなって動脈硬化を起こし、ボロボロになってしまいます。
このように糖尿病は血管を傷つけていきますが、真っ先にダメージを受けるのは細くてもろい血管です。腎臓の糸球体も非常に細い血管が集まってできたものですから、例外ではありません。
血糖が高い状態が続くと糸球体の血管はボロボロに傷つき、やがて破れたり詰まったりして、血液をろ過する働きができなくなってしまいます。
重要なのは血糖のコントロール
糖尿病性腎症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか。
糖尿病性腎症の1番の原因は高血糖ですので、血糖のコントロールを良好に保つことが何より重要です。糖尿病と診断されたということは、すでに糖尿病性腎症を発症する前の段階にあるということです。糖尿病性腎症を引き起こさないよう、次のようなことに気を付けて血糖を適切にコントロールするようにしましょう。
食事
特別な制限はありませんが、お医者さんに指示された摂取カロリーをきちんと守り、栄養バランスの良い食事を1日3回、決まった時間にとることが大切です。食べ過ぎや高タンパク・高塩分の食事は、腎機能の低下を速めてしまいますので注意しましょう。
運動
血糖値が上がる食後1~2時間以内に行うのが効果的です。運動の効果は次の日まで持続します。毎日続けるのが大変な人は1日おきに始めてみるとよいでしょう。
お薬
血糖のコントロールは食事と運動が基本ですが、それでもコントロールできない場合は薬物療法が行われます。飲み忘れるとコントロールが乱れますので、忘れずにのむようにしましょう。
また、糖尿病性腎症は透析を受ける理由の第1位です。予防するためのは早期発見することが最も重要です。こちらの記事も合わせてご参考下さい。
早期発見が鍵!糖尿病性腎症で透析患者にならない唯一の方法
http://tonyo-ch.com/tonyo-zinsyo-1
まとめ
糖尿病はほとんど自覚症状がないまま進行していくので、糖尿病であることをつい忘れてしまい、治療をサボりがちになります。ですが、適切な治療をせずに高血糖状態を放置しておくと、最後には透析治療を受けなければ生命を維持できないほどに腎臓が悪くなってしまいます。
そうならないためには、日頃の血糖コントロールが最も重要です。症状がないからといって油断せず、きちんと糖尿病の治療を続けましょう。
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