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医療法人による糖尿病患者のためのコラム2023年2月7日糖尿病の治療費用を安く!節約重要ポイント+保証制度まとめ

糖尿病になってしまうと、治療のために様々な費用が嵩みます。食事療法・運動療法のみで治療をする場合も、定期的に病院を受診する費用が必要です。

さらに薬物療法を行うことになると、かかる費用は決して少なくありません。糖尿病の治療には一体どのくらい費用がかかるのでしょう?治療費を押さえるポイントや利用したい保証制度について詳しくみていきましょう。

糖尿病にかかる費用の重要ポイント

糖尿病治療に必要な費用は月いくら?

糖尿病は、治療の内容によってかかる費用にかなりの差があります。例えばインスリン注射を打たなければならない場合、インスリン注射を打つ回数によってもかかる費用は変わります。そのため一概に「糖尿病にかかる治療費用はこのくらいです」とは言えません。

しかし、医療経済研究機構の「政府管掌健康保険における医療費等に関する調査研究報告書」によると、糖尿病の患者さん1人当たりの平均医療費用は年間24.7万円となっています。また、実際に患者さんが支払う金額は、健康保険の利用者なら治療費用の3割が自己負担となります。

24.7万円を12ヶ月で割った金額の3割負担額を計算すると、月額約6,000円です。これがずっと継続してかかると考えると、決して安い費用ではありません。さらに、糖尿病に高血圧治療・高脂血症治療・腎症治療などが加わると、治療費用はさらに跳ね上がります。

ジェネリック医薬品の利用で糖尿病の治療費用を抑えよう

糖尿病と薬の費用

糖尿病の治療で経口治療薬を使っている場合、薬代を安く抑える方法があります。一般的に、薬の価格には開発にかかった費用なども乗せられています。

そして開発の際に取得した特許がある限り、ほかの医薬品メーカーはその薬を作ることができません。しかし特許の有効期間が切れた後は、他メーカーも同じ薬を作ることができます。その他メーカーの後発医薬品をジェネリック薬と呼びます。ジェネリック薬は元の薬と同じ成分と効果を持ちながらも、安い価格で購入できます。

糖尿病の治療に使っている薬が先行医薬品なら、ジェネリック薬に切り替えることで薬の費用を安くできます。ただし、ジェネリック薬が発売されていない薬もあるのでまずはかかりつけの医師に相談してみましょう。

要注意:診察費や検査料を節約してはダメ!

食事療法・運動療法のみで糖尿病の治療を行っている人も、診察や検査を受ければ数千円の費用がかかります。定期的に病院に通うのは面倒なもの。糖尿病の症状が軽い場合は、つい足が遠のきがちになってしまうかもしれません。

しかし、糖尿病が進行すると比較にならないほど治療のために費用がかかります。当然食事療法や運動療法だけでは追いつかなくなり、投薬治療を始めることになります。

人工透析が必要になると、治療費は格段に高くなります。治療にかかる費用は毎月数万円までに膨れ上がります。なにより糖尿病をこれ以上進行させないためにも、定期的に通院して診察や検査を受けることが大切。診察費や検査料は、絶対に節約してはいけないものと考えてください。

糖尿病の治療費用へのさまざまな社会保障

糖尿病の費用削減の保証制度

糖尿病の治療は長期間に及ふだめ、治療費用の負担も大きくなります。その負担を軽減して治療に専念できるようにと、さまざまな社会保障制度が制定されています。

まずはどのような社会保障サポートがあるのかを知り、自身で利用が出来そうなサポートについて医師に相談・直接問い合わせをしてみましょう。

小児糖尿病の費用サポート1:小児慢性特定疾患治療研究事業

小児慢性特定疾病情報センター
http://www.shouman.jp/assist/

児童の健全育成を目的として作られた制度で、18歳未満のお子さんが対象となります。対象疾患群として11の病気が指定されていますが、その中に糖尿病も含まれています

保護者世帯の収入額によって費用の自己負担限度額が決められており、それ以上の金額分は助成されるので支払う必要がありません。申請は各地域の保健所で受け付けているので、詳しくは問い合わせてみてください。

小児糖尿病の費用サポート2:特別児童扶養手当

東京都心身障害者福祉センター
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/teate/toku_ji.html

心身に障害を持つ20歳未満のお子さんがいる家庭が対象です。障害の程度により、年3回扶養手当が支給されます。糖尿病のお子さんの場合、障害の程度は2級に分類されることが多くなっています

しかし、本人・本人の配偶者・保護者の収入が一定以上の金額の場合、手当は支給されません。所得や障害の程度については、毎年見直しがあります。申請は市区町村の窓口で受け付けているので、詳しくは問い合わせてみてください。

糖尿病の費用サポート3:自立支援医療制度

東京都福祉保健局>自立支援医療
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shogai/jiritsu.html

心身障害をもつ人の負担軽減のため、治療費用を助成してくれる制度です。糖尿病の場合は、腎移植や人工透析を受けている患者さんが対象になります。

所得に応じて治療費用の自己負担限度額が決められていて、それ以上の金額分は助成されるので、支払う必要がありません。申請は市区町村の窓口で受け付けているので、詳しくは問い合わせてみてください。

糖尿病の費用削減のポイント

糖尿病の費用サポート4:心身障害者等福祉手当

東京都心身障害者福祉センター>東京都重度心身障害者手当
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/teate/juudo.html

身体障害者手帳1・2級をもつ方への助成制度です。糖尿病では、失明・四肢切断・人工透析などの患者さんが対象になります。

障害の程度によって等級が決まり、等級に従った助成金が毎月支給されます。ただし、受給するには所得制限などの資格条件があります。申請は市区町村の窓口で受け付けているので、詳しくは問い合わせてみてください。

糖尿病の費用サポート5:高額療養費制度

高額療養費制度とは?押さえておくべき申請方法と活用するポイント
http://hoken-kyokasho.com/kougaku-shinseihouhou

国民健康保険や社会保険の健康保険が行っている制度です。収入によって月額医療費の自己負担額が定められていて、それ以上の金額を支払った場合は医療費の返還を受けられます。

入院などでその月の医療費が高額になっしまうことがわかっている場合には、限度額適用認定証というシステムも利用できます。これを事前に病院に提出しておけば、支払った後に返還されるのではなく、自己負担額以上を支払わなくてもよくなります。

ただし、健康保険に加入していても、毎月の保険料の支払いが滞っていると利用できません。また入院時の食事代など、医療費とは関係ない費用については全額自己負担となります。詳しくは、医療機関の相談窓口や加入している健康保険の窓口に問い合わせてみてください。

糖尿病の費用サポート6:障害基礎年金

日本年金機構>障害年金
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

 国民年金の加入者が重度障害者になった時に受給できる年金です。糖尿病の場合は、合併症の有無や四肢の障害などが総合的に考慮されます。受給に所得制限はありません。

しかし、糖尿病の初診日や障害の認定日・年金の加入状況などさまざまな要件で支給金額が変わってきます。詳しくは市区町村の年金担当窓口に問い合わせてみてください。

糖尿病の費用サポート7:地方自治体による医療費助成

各都道府県や市区町村といった自治体単位で、医療費の助成を行っている場合があります。市区町村の窓口に問い合わせてみてください。

温泉も糖尿病の医療費用控除の対象に!?

糖尿病の費用に温泉も含まれる

糖尿病の患者さんへの公的支援は、医療費の助成だけではありません。実は、温泉療養も治療の一環として認められているため、宿泊費と往復の交通費が医療費控除の対象になるのです。

ただし、どこの温泉でもいいというわけではありません。厚生労働省から「温泉利用型健康増進施設」として認定されている温泉のみが対象となります。全国で19カ所の温泉が、この温泉利用型健康増進施設に認定されています。

また、温泉旅行といっても治療の一環なので利用するには医師が作成した「温泉療養指示書」が必要です。これは薬の処方箋のようなものだと思ってください。この温泉療養指示書は、医療控除を申請する時にも必要になります。温泉療養に行きたい場合には、まずかかりつけの医師に相談してみましょう。

まとめ

糖尿病の治療には、長い期間がかかる場合がほとんどです。治療の負担を少しでも減らすために、国や自治体などのさまざまな社会保障制度があります。助成金の情報については、病院で相談窓口を設けているところもあります。

公的な支援を最大限に利用して経済的な負担を減らし、安心して治療に臨めるようにしましょう。

必ず主治医の先生にご相談ください。
Oasisコラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。

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