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医療法人による糖尿病患者のためのコラム2021年7月29日糖尿病予防に自宅で簡単にできる「レジスタンス運動」とは?

糖尿病の予防には歩くことや筋肉をつけることが大事なことは百も承知ですが、いざ運動をしようと思っても体が動かない。。。

そんな時は、お家でも簡単にできる「レジスタンス運動」はいかがでしょうか?

一見、地味な運動ですが継続することで確かな効果があります。有酸素運動と一緒に行うことで相乗効果も期待できます。

レジスタンス運動とは?

レジスタンス運動は、いわゆる「筋力トレーニング」のことです。筋肉アップにはウォーキングなどの「有酸素運動」もありますが、この2種類の運動を組み合わせて行っていくことが最も効果的と言われています。筋肉をつけると脂肪を燃焼しやすい体になりますからね。

腕立て伏せ

糖尿病予防に筋肉量をアップさせるメリット

ハーバード公衆衛⽣⼤学院の研究チームが、1990 年から 2008 年にかけて⽶国の 40~75歳の男性を追跡調査し、運動が健康に及ぼす影響について調べました。

その結果、スクワットや腕立て伏せなど簡単な筋トレでも「単独」で2型糖尿病の発症リスクが下がるということを発表しています。

つまり、簡単なレジスタンス運動=筋トレでもカロリー消費はもちろん、血糖コントロールを安定させて糖尿病の予防・治療も後押ししてくれるのです。その他、メリットはたくさんありますが、ここでは3つのポイントをご紹介いたします。

1.基礎代謝が上がり、肥満解消につながる

ダイエットを行ったことがある人なら聞いたことがあるかもしれませんが、痩せるには基礎代謝を上げることだと医師や書籍は力説しています。

私たち人間の体は普段何もしていなくてもエネルギーを消費しています。これは一般的に「基礎代謝」と呼ばれています。1日の全エネルギーの約50~60%は生命活動を維持するために基礎代謝で消費されます。そのため、基礎代謝が上がれば自然とカロリーを消費し、太りにくい体になるわけです。

2.インスリン抵抗性の改善に有効

糖尿病を発症すると、健康な人と同じ量のインスリンがあっても、同じようには効かなくなります。医学用語では、この症状を「インスリン抵抗性」と呼びます。

特に肥満気味の方は注意が必要です。インスリン抵抗性があると、血液中にブドウ糖が余ってしまい高血糖を招きやすくなります。運動や筋肉量を増加させることは肥満解消につながるので、インスリン抵抗性の改善にも効果的なのです

3.運動でインスリンがなくても糖取り込みが起こる

細胞にブドウ糖を取込むためには基本的にインスリンの働きが必要ですが、運動効果(筋収縮)でブドウ糖の利用を促せば、血糖コントロールが改善することが明らかになりました。

また、運動を習慣として続けるとインスリン抵抗性が改善し、血糖値が安定するとも言われています。運動を積極的に生活に取り入れることで、インスリン分泌が少ないタイプの糖尿病患者でもブドウ糖の取込みが起こり、血糖値を下げる効果を期待できるのです。

筋トレの目的は基礎代謝を上げること!

上記をまとめると、レジスタンス運動で筋肉を増やせば基礎代謝が上がり、痩せて太りにくい体になります。脂肪が減れば、肥満やメタボが改善します。そして、肥満やメタボが改善されればHa1cの数値も下がります。この好循環サイクルにより糖尿病の改善が期待できるわけですね。

そこで、運動が苦手な方でも自宅で簡単にできる、代表的な筋トレとポイントを紹介します。

腹筋

筋肉トレの代名詞的な運動です。最近では様々なトレーニング器具が登場して人気です。お腹回りの筋肉を鍛えることで腰痛の予防にもなり、腸の調子が良くなる人もいます。

スクワット

腹筋は基本的にお腹の部分だけに働きかける運動ですが、スクワットは全身運動です。ダイエット効果は腹筋よりもはるかに上と言われています。慣れるまでは大変ですが、筋肉量を増やしたい場合はスクワットの方がおすすめです。

腕立て伏せ

腕立て伏せは、回数よりも正しいフォームを意識して取り組みましょう。100回間違ったフォームで行うより、1回正しいフォームで行った方が効果的であると言われるほど、腕立て伏せはフォームが大切です。

背筋

背筋を鍛えるシンプルで効果的な方法は「ブリッジ」です。ブリッジは姿勢の悪化を防ぎ、疲れにくい身体を手に入れられるというメリットもあります。

また、女性にも人気のバランスボールは腹筋を鍛える道具と思われがちですが、背筋を鍛える利用方法もあります。

腹筋

まとめ

腕立てや腹筋など自宅で簡単にできるレジスタンス運動(筋トレ)なんて効果があるのか?と疑問を持つ方もいると思います。ですが、継続は力なりではありませんが週に2~3回のトレーニングでも筋肉がつき脂肪燃焼しやすい体質になります。

医療研究者の間では、筋トレ効果で大口の血糖消費先である筋肉量が増え、インスリン作用が改善し、糖尿病の予防や血糖コントロール安定へつながると言われています。

しかし、糖尿病患者の中には運動に適さない方もいます。まずは医師に相談してから自宅での筋トレにチャレンジしましょう。

必ず主治医の先生にご相談ください。
Oasisコラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。

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