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医療法人による糖尿病患者のためのコラム2023年1月12日治療効果もUP!透析治療と相性が良いトレーニングを始めよう

透析患者さんにとって、運動はとても大切です。透析患者さんは、一般の健康的は人に比べて体力や筋力が低下していることが知られています。

体力や筋力が低下すると、疲れやすくなって普段の生活に支障が出るだけでなく、転びやすくなって骨折したり、別の病気を引き起こしたりすることも。

筋肉量の多い透析患者さんは生命予後もよいと言われています。元気で楽しく長生きするため、適度なトレーニングで体力や筋力を向上させる必要があります。

透析患者は体力・筋力が低下しやすい

透析患者さんは運動不足になりがちです。一般的な血液透析の場合、患者さんは1回4~5時間程度の透析を週3日受けなければならず、長い時間をベッドの上で過ごすことになります。

加えて、透析があった日は疲れやすく、家に帰ってからも横になって静かに過ごしている患者さんも少なくありません。透析があった日は特に、身体活動量が低くなってしまいます。

また、透析患者さんは、腎機能の低下によって引き起こされる尿毒症の影響で、筋肉の萎縮や変性が起こり、筋力が低下してしまいます。腎不全になるとホルモンバランスが崩れ、老廃物も溜まりやすくなるため、骨や関節が弱くなる傾向があり、体を動かしにくくなってしまう原因になります。

どんなトレーニングが透析治療と相性が良いの?

人工透析とトレーニング

ウオーキング

最も取り組みやすいのはウオーキングです。週3回、1回20~30分程度のウオーキングが最も効果的と言われていますが、体力が低下している人はゆっくり休みながら、短時間でも構いません。

疲れない程度の速さで10分程度から始め、徐々に距離を伸ばしていけばいいでしょう。景色や会話を楽しむこともでき、精神的な効果も期待できます。

スクワット

筋力アップには筋力トレーニングが効果的です。おすすめはスクワット。場所もとらず、道具も使わないので、日常生活の中でも取り入れやすいのが利点です。足の筋肉を鍛えることで、日常生活はもちろん、ウオーキングなどのトレーニングも楽にできるようになります。

患者さんの筋力や関節の状態に応じて、無理のない回数から始めましょう。膝が痛い患者さんやバランスが取りにくい患者さんは、壁やテーブルに手をついて行うと安心です。

透析中でもできるトレーニングがある

とはいえ、透析患者さんがトレーニングの時間を確保するのは難しいのが現実です。透析や通院にもかなりの時間を使いますし、透析後は疲れてしまいトレーニングどころではありません。トレーニングができる時間はおのずと限られてしまいます。

そこで最近注目されているのが、透析をしながら行うトレーニング。透析中に行うことで時間も有効に使えますし、何より続けやすいというのがメリットです。

透析中できるトレーニングとしては、重りやゴムチューブを使って足に負荷をかけるトレーニングや、エルゴメーターを使ったペダルこぎ運動、ストレッチなどがあります。医療機関のスタッフが近くにいるため安全ですし、正しいトレーニング方法を指導してもらうこともできます。

透析治療の効果アップ!トレーニングのメリットとは

  • 自律神経機能の向上
    心身の安定や健康につながります。集中力も向上し、効率もあがります。
  • 不眠症の改善
    きちんと眠ることにより、体力や集中力が向上します。それにより、糖尿病だけではなく、他の病気の改善や予防にもつながります。
  • シャント血流の改善
    血液の循環がよくなるため、シャント血管内の流れも改善されます。
  • 透析効率の改善
    体内の血行がよくなることにより、透析治療の効果もあがります。
  • 貧血の改善
    血液の循環が改善することで、新陳代謝が活発になります。また、赤血球の作られるペースも増加します。
  • 死亡率の低下
    血中のブドウ糖や脂肪酸の利用がうながされ、血糖値や血圧値が低下します。また、エネルギー摂取量と消費量のバランスが改善し、肥満になりにくくなります。

まとめ

透析患者さんのトレーニングには、体力・筋力のアップだけでなく、いろいろな効果が期待できます。日常生活や治療の中に上手に取り入れて、長く続けることがポイントです。ただ、どんなトレーニングをどれくらいしたらよいかは患者さんによっても違います。お医者さんに相談し、指示に従って無理のない範囲で行いましょう。

必ず主治医の先生にご相談ください。
Oasisコラムに関する個別のご質問には応じておりません。また、当院以外の施設の紹介もできかねます。恐れ入りますが、ご了承ください。

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