トマトジュースは手軽に栄養補給できる飲み物の一つとして親しまれています。忙しい日の食生活に取り入れやすく、リコピンをはじめとした成分も注目されています。トマトジュースは血糖値に対する効果もあるのでしょうか。今回はトマトジュースに期待される効果やおすすめの飲み方についてご紹介します。
トマトジュースの血糖値への効果とは?
2020年に実施された研究では、健康な女性25名が参加し、朝食の30分前に200gのトマトジュースを飲んだところ、飲まなかった場合と比べて食後の血糖値の上昇が明らかに抑えられることが確認されました。¹)この結果から、トマトジュースを食前に取り入れることで、食後血糖の急な上昇を緩やかにできる可能性が示唆されています。
トマトジュースに含まれる「リコピン」の健康効果
2型糖尿病患者57名を対象にした2000年の研究では、1日500mlのトマトジュースを4週間飲んだグループで血液中のリコピン濃度が有意に上昇し、リコピンが体内にしっかり吸収されていることが確認されています。2)さらに、LDL(悪玉コレステロール)が酸化されるまでにかかる時間が延長し、LDLの酸化を抑える働きが強くなったことも示唆されました。2)
効果を感じるための正しい飲み方とタイミング
2020年に実施された前述の研究報告より、トマトジュースの食後血糖値の上昇を抑える効果を感じるためには、炭水化物摂取の30分前に200gのトマトジュースを摂取することが推奨されます。1)
リコピンはカロテノイドの一種であり、脂溶性の性質を持つため、脂質と一緒に摂取することで腸での吸収率が高まります。さらに、トマトピューレとチーズを同時に摂取すると、リコピンの吸収が上がったという報告もあります。4)
トマトジュースに含まれるリコピンは、加熱によって体内に吸収されやすい形に変化するため、加熱処理されたトマトジュースでも吸収率が低下することはありません。さらに、リコピンは油やチーズなどと一緒に摂取することで吸収率が高まります。スープや煮込み料理など、加熱調理して摂取するのもおすすめです。
リコピンの吸収を高めるために、トマトジュースを取り入れる際には以下のような工夫が考えられます。
- トマトジュースにオリーブオイルなどを加えてスープにする
- トマトジュースを使ったリゾットにチーズを加える
- トマトジュースを使用したスープの仕上げにパルメザンチーズをトッピングする
- トマトジュースと一緒にチーズやフライなどの油を使用した料理を一緒に摂る
トマトジュースを選ぶ際は、砂糖や塩分が添加されていない無塩・無添加タイプを選ぶと、血糖値や血圧への影響を抑えられます。購入前に成分表示を確認するようにしましょう。食事療法を行っている場合は1日の摂取量や製品の選び方など、医師や管理栄養士にご相談ください。
・1)Yuuki Saito 1, Ayasa Nitta 1, Saeko Imai et al.Tomato juice preload has a significant impact on postprandial glucose concentration in healthy women: A randomized cross-over trial Asia Pac J Clin Nutr.2020;29(3):491-497.
・3)W Stahl, H Sies Uptake of lycopene and its geometrical isomers is greater from heat-processed than from unprocessed tomato juice in humans J Nutr.1992 Nov;122(11):2161-2166
・4)脇尚子, 鈴木重德, 海老原淑子, 菅沼大行 チーズとの組合せ摂取によるトマトからのリコピン吸収向上効果の検証 日本食品科学工学会誌2022;69(6)
まとめ
トマトジュースの摂取は、血糖値の管理や心血管リスクを低減する可能性が示されています。炭水化物摂取の30分前に200gのトマトジュースを摂取することで、食後の血糖値の上昇を抑制する効果が期待されます。
トマトジュースは加熱や脂質との組み合わせによってリコピンの吸収率が高まるため、油やチーズと一緒に加熱調理して摂るのもおすすめです。トマトジュースを日々の食事に上手に取り入れていきましょう。