健康診断や人間ドックで血糖値の検査を受けたとき、「糖尿病境界型」と診断されることがあります。糖尿病境界型とは、いったいどういう状態なのでしょうか。よく聞く糖尿病とは違うのでしょうか。
この記事では、そのような疑問にお答えしていきます。糖尿病境界型と診断されたとき注意すべきポイントも併せてご紹介します。
糖尿病境界型ってなに?
血糖値の値には、正常とされている範囲があります。空腹時血糖値なら110mg/dL未満、ブドウ糖負荷2時間後血糖値なら140mg/dL未満です。
この値を超えたからといって、すぐに糖尿病と診断されるわけではありません。糖尿病は空腹時血糖値なら126mg/dL以上、ブドウ糖負荷2時間後血糖値なら200mg/dL以上という診断基準があります。
糖尿病境界型の定義・別名
血糖値が正常の範囲から外れているけれど、糖尿病と診断されるまでには至らない状態が「糖尿病境界型」。「耐糖能異常」という呼び方をすることもあります。数値でいうと、空腹時血糖値が110~125mg/dL、ブドウ糖負荷2時間後血糖値が140~199mg/dLが糖尿病境界型となります。
糖尿病境界型と診断されても、すぐに糖尿病になるわけではありません。ただ境界型の人は血糖値が正常な人と比べると、6~20倍もの確率で糖尿病を発症するといわれています。そのため糖尿病境界型は「糖尿病予備群」と呼ばれることがあります。
糖尿病境界型の自覚症状
糖尿病の自覚症状といえば、のどが渇く・トイレが近くなる・疲れやすくなる・きちんと食事を摂っていても痩せるといったことを連想する方もいるでしょう。しかし、こういった症状が現れるのは、糖尿病がかなり進行してからです。
初期の糖尿病には、自覚症状がほとんどありません。そのため知らず知らずのうちに進行してしまうことが多い病気です。糖尿病境界型は自覚症状はないと考えておいたほうがいいでしょう。
ただし、自覚症状はなくても、体への影響は出はじめています。糖尿病境界型の状態が長く続くと、全身の血管に負担がかかって動脈硬化が起こります。すると、血管が詰まったり破れたりするリスクも上昇します。最悪の場合、心筋梗塞・脳梗塞・脳出血といった命に関わるような事態にもなりかねません。
糖尿病境界型と診断されたら、「まだ糖尿病ではないから大丈夫」ではなく「ほぼ糖尿病」と考えるべきでしょう。
まだ間に合う!!糖尿病を発症しないために
糖尿病がまだ初期のうちは、投薬をしなくても病状の改善が期待できます。境界型に留まっているうちに対策すれば、さらに効果を上げることも可能です。
糖尿病境界型と診断された場合、まず摂取カロリーを見直しましょう。食べ過ぎからくる肥満は、糖尿病が発症するきっかけになります。炭水化物、揚げ物や甘味といったカロリーの高い食べ物を控え、栄養バランスのよい食事を摂るようにしましょう。
運動不足も肥満を招きやすくなります。激しい運動をする必要はないので、毎日こまめに体を動かすようにしましょう。さらに体重を毎日チェックする習慣をつけて、体重が増えてきたら節制するよう心がけたいものです。
意外なところでは、ストレスが糖尿病発症のきっかけになってしまうことがあります。趣味などでストレスを解消するのもいいでしょう。ストレス解消には睡眠も大切なので、毎日7時間は睡眠をとるようにしましょう。
まとめ
糖尿病境界型と診断された人の1/3は、糖尿病に移行するといわれています。1/3は境界型の状態で留まり、血糖値が正常な範囲に戻る人は1/3だといいます。
糖尿病の予防には、生活習慣を整えて減量することが有効です。なにも無理なダイエットをする必要はありません。現在の体重の5%を減らすだけでも、血糖値の改善には効果があります。まずは生活習慣を見直すため、医師に相談してみましょう。
定期的に血液検査を受けて、自分の血糖値を把握しておくことも大切です。