血糖値を正常レベルに下げるためには、食事のコントロールが必要不可欠です。起床してから最初の食事「朝食」がキーポイントとなります。
朝食は1日の規則正しい食事の始まりという重要な役割があります。今回は朝食と糖尿病の関係に迫ります。
血糖値を安定させることにも、朝食はとても重要。具体的にどのように朝食と向き合ったら良いのかみていきましょう。
糖尿病と朝食の関係って?
糖尿病チャンネル読者の皆様、毎日朝食を召し上がっていますか?「少しでも寝ていたい」「朝は食欲があまりない」「出勤準備で食べる暇がない」などの理由で朝食を抜いてしまう人も多いかもしれません。
厚生労働省が発表した平成25年の国民健康栄養調査によると、男性の14.4%、女性の9.8%が習慣的に朝食を食べていません。答えをまず先に。朝食を抜くと、太りやすくなり、2型糖尿病のリスクも上がってしまうということが分かっています。
朝食を抜くと2型糖尿病になりやすい
全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査によると、糖尿病患者さんの食生活調査では、2型糖尿病患者の多くは朝食を抜いている人が多いという結果が報告されています。また、糖尿病患者さんでBMIが高い人、つまり肥満傾向の人は夜10時以降の深夜に食事をしている人が多いことが分かっています。
朝食を抜くことは、つまり一日二食となります。中には、夕食一食という人もいるかもしれません。食事回数が少ないと体はエネルギーを過剰にため込もうとします。空腹の時間が長くなりますから、体内への脂肪合成能力が高まり、逆に脂肪分解能力が減ってしまうのです。朝食を抜くことで太りやすくなり、血糖コントロールが難しくなるのです。
知ってた?朝食が糖尿病を安定させる
朝食を抜くと、残りの食事は昼と夜になります。空腹の状態が長く続くと、いわゆる「どか食い」というように大盛りやおかわりをしたりと一回の食事で多くエネルギーを摂りがちです。1食あたりの食事量(エネルギー)が増えることにつながり、糖尿病の患者にとっては大問題です。
朝食の習慣作りはまずはバナナ1本から
食事をとることで食後血糖値は高くなりますが、食事の量が多いほど血糖値は高くなり、高血糖の状態が長時間続きます。高血糖が続けば、糖尿病は悪化する一方です。朝食を食べた後は、仕事・通勤など体を動かすことが多いので消費エネルギーが増えます。当然、血糖コントロールも安定します。
朝食の習慣がない人は、「バナナ1本」「ヨーグルト」「牛乳1杯」といった簡単な朝食から始めてみてください。朝食の習慣が定着した後は、食物繊維を多く含む朝食をぜひ取り入れてください。午前中の血糖やインスリン代謝に好影響を与えます。
朝食が体に与える5つのメリット
- その1 血糖値の急激な上昇を抑制できる
- その2 朝食を食べると肥満防止につながる
- その3 朝食に食物繊維をとると炭水化物の吸収を遅らせる
- その4 朝食を食べることで便通がよくなる
- その5 低血糖のリスクが減る
糖尿病の進行予防の基本は食事です。
朝食を食べないと昼食+夕食の2食の場合、まとめ食いになりがちです。一度にたくさん食べることはすい臓への負担となり、インスリン分泌不足の状態に進みやすくなります。一度に、たくさん食べたときに血糖値が急上昇して高血糖になったり、食べる量が少ないときは薬が効きすぎて低血糖になったりと、血糖値を乱す原因となります。
理想的な食べ方は、1日三食の摂取エネルギーがほぼ均等になるように配分することです。たとえば、1日の摂取エネルギーの適量が1600kcalの人の場合は、朝食、昼食、夕食がそれぞれ400~600 kcalになるような食事を目指してください。
糖尿病の治療の基本は、摂取エネルギーを制限した食事療法という点も忘れないでください。
まとめ
朝食は、1日の規則正しい食事のスタートという大変重要な役割があります。忙しいからといって朝食を抜くと、次の食事で沢山食べてしまったり、間食をしてしまったり、血糖を上手くコントロールできなくなります。
朝食を食べることで、2型糖尿病を発症するリスクを低下させることがさまざま研究で報告されています。忙しいかもしれませんが、時間に余裕を持ってゆっくりと朝食を楽しんでください。