テレビや雑誌などメディアでたびたび紹介されている「糖尿病」と「コーヒー」の関係。巷ではコーヒーを飲むと血糖値が下がると言われていますが、コーヒーを糖尿病患者さんが飲むことは良いことなのでしょうか?
情報が錯誤しており「コーヒーを飲むと糖尿病が改善する」と考える人もいますが、実は飲む人によって体に良い・悪いは全く分かれるのです。
一体どういうことなのでしょうか?糖尿病患者とコーヒーとの関係・上手な付き合い方について詳しくみていきましょう。
糖尿病予防にコーヒーは効果的
コーヒーはカロリーゼロ、一般的には糖尿病に良い飲み物とされてきました。しかし最近、メディアなどでコーヒーは糖尿病には良くないということも耳にするようになりました。
はたしてどちらが正しい情報なのか?戸惑う人もいることでしょう。正しく言えば、コーヒーは糖尿病の予防に効果のある飲み物です。ポイントはあくまで予防であって糖尿病の人が飲むと悪影響を及ぼすこともあります。詳しくは下記にてご紹介しています。
コーヒーと血糖値降下の研究結果
コーヒーの健康効果を詳しく調べた研究結果があります。
フィンランド国立公衆衛生研究所が約1万4000人を対象に調査を行った結果、1日に3~4杯のコーヒーを飲んだ人は、全くコーヒーを飲まない人に比べて30%も糖尿病になる確率が低かったそうです。
日本国内の研究でも明らかに
さらに、国内では九州大学大学院 医学研究院の古野純典教授が糖尿病の予防にコーヒーが役立つという論文を発表しています。
古野氏らの研究によると、インスタントコーヒーを1日に5杯ずつ、16週間にわたって飲みつづけることで、糖の代謝が改善するのかどうかを検証しました。
75-g経口ブドウ糖負荷試験で得られた飲用16週後の血糖値の変化率を比較した結果、コーヒーを飲んでいる人たちは負荷後2時間血糖値が平均13.1%低下したほか、すべてマイナス(改善)の方向に変化。
一方、コーヒーを飲んでいない人たちはすべてプラスとなりました。つまり、古野教授の予想通り、「コーヒーは血糖値の低下に一役買う飲み物である」と立証する結果となりました。
コーヒーに含まれているカフェインは、インスリンが分泌していない空腹時に飲むと、血糖値を下げるミトコンドリアを活性化させます。糖尿病予防の効果を上げる飲み方として、空腹時にコーヒーを飲むことが良いようです。ただし砂糖やミルクをたっぷり入れたコーヒーはダメ。ブラックコーヒーのみです。
注意!糖尿病患者にコーヒーは逆効果
糖尿病(2型)を発症して高血糖が続いている人は、コーヒーを飲むと逆に血糖値を上げやすいと言われています。
コーヒーは糖尿病患者の血糖値を上げることが明らかに
糖尿病患者さん10人を対象にした小規模試験データでは、1日4杯分のコーヒーに相当するカフェイン500mgを錠剤で朝と昼2回に分けて摂取させたところ血糖値が8%上昇したという報告があります。
この実験を行った医学心理学の教授によると「2型糖尿病患者にとってカフェイン摂取は血糖値の維持を難しくさせる」と指摘しています。特に食後の高血糖、なかでも夕食後の血糖値上昇は26%と高くなっているので注意が必要だと主張しています。
糖尿病の薬(トラゼンタなど血圧を下げる薬など)の中にはコーヒーに含まれるカフェインの分解を邪魔する成分が含まれます。体内でカフェインが分解されずに残ることで、カフェインの作用が増強してしまう可能性も指摘されています。
またカフェインは、血圧を上昇させるはたらきもあるので、高血圧の人は合併症を誘発する可能性があります。糖尿病の薬を飲んでいる人はコーヒーを飲む際に注意が必要です。コーヒーだけでなく紅茶や緑茶、清涼飲料に含まれるカフェイン入りの飲み物にも注意が必要です。
まとめ
コーヒーには糖尿病を予防する効果があるというのは、正確に言えば、糖尿病を発症する前段階。1日に3~4杯のコーヒーを飲むことで予防効果が期待できます。
ただし、コーヒーだけ飲んでいれば血糖コントロールできるわけではりません。「コーヒーには軽度の効果はある」と考えましょう。
また胃腸が弱い、カフェインに敏感で眠れなくなるという人もいます。「コーヒーを飲むと血糖値が下がる」「糖尿病にならない」ということではないので、正しく理解することが大切です。