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医療法人による糖尿病患者のためのコラム2020年8月20日早期発見・治療の近道!さまざまな糖尿病検査について知ろう

糖尿病は、早期発見・早期治療を行えば、怖い病気ではありません。糖尿病は、早期では自覚症状が出ることが少ない病気ですから、定期的な検診や早めの検査受診によって病気を見つけることが大切です。

病院で行う検査から自宅で検査キットを使った方法など、様々な検査方法がありますが実際どのような方法で測定・診断するのでしょう?

それぞれの検査方法について詳しくみていきましょう。

糖尿病は血管をボロボロにする

糖尿病の合併症は、主に血液中の糖が悪さをして血管にダメージを与えるために起こります。糖尿病は血糖が高い状態が長く続く病気ですが、実は時間をかけて全身の血管をボロボロにしてしまう病気なのです。

糖尿病が別名「血管病」と呼ばれるのもこのためで、病名を「血管ボロボロ病」に改めるべき、なんてことを言う医師もいるほどです。

糖尿病患者さんの血液にはたくさんの糖が含まれています。糖がたくさん入った血液は、いわばシロップのようにドロドロとして流れにくい状態。血管の内側の壁にもべったりとくっつき、やがて血管を傷つけてボロボロにしてしまうのです。

糖尿病の三大合併症とは

糖尿病の合併症で代表的なのが「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」の3つです。これらをあわせて糖尿病の三大合併症と呼んでいます。

糖尿病性網膜症

目の網膜にある血管が、破れたり詰まったりすることで起こるのが糖尿病性網膜症です。発症初期は軽い出血や浮腫などで、自覚症状は少ないことが多いようです。

しかし合併症が進み血管が破れて出血したり網膜剥離を起こしたりすると、視力が落ちやがて最悪の場合は、目が見えなくなってしまうこともあります。失明の原因として最も多いのがこの病気です。

糖尿病性腎症

腎臓は細い血管の集まりで、目の網膜の血管に起きるようなダメージを腎臓も受けてしまいます。そのために腎臓の機能が低下してしまう病気です。

腎臓の機能が低下すると、血液中の老廃物を取り除いて尿として排出することができなくなります。

一度ダメージを受けた腎臓は治療をしても元の状態に戻ることは出来ません。つまり、腎症を発症したら、その進行を抑える治療が必要になります。また、腎臓の機能が更に低下してしまった場合は、人工透析を受けなければ生きていけなくなってしまいます。

糖尿病性神経障害

指先などに血液が流れにくくなったり、余分な物質が神経に溜まることで、末梢神経の細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、正常に機能しなくなる病気です。糖尿病神経障害の症状の現れ方は人それぞれで、様々な自覚症状があります。

例えば、足の感覚が鈍くなったり、しびれたり、ピリピリとした痛みを感じたりします。また、足が冷たくなる人もいれば逆にほてりを感じる人もいます。

特に感覚が鈍くなる症状がある人の場合、足にけがをしても気付きにくく、そこから感染を起こして細胞が壊死し、場合によっては足を切断せざるを得なくなってしまうこともあります。フットケアで「足をよく観察しましょう」と言われるのはこのためです。

糖尿病検査

病院で受ける糖尿病検査の内容

このような合併症を防ぐには、糖尿病を早期に発見し、早期に治療を始めることが何より大切です。早期発見には検査が欠かせません。気になることがあれば早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。糖尿病にかかっているかどうかを調べる検査には、次のようなものがあります。

  • 尿糖検査
  • 血糖値検査
  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)検査
  • OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)

検査にかかる費用は、保険適応の有無や、自己負担の割合によって金額は前後しますので、受診する医療機関などにお問い合わせ下さい。それぞれの検査でどのようなことを測定・診断しているのかみていきましょう。

尿糖検査

尿糖検査は、糖尿病にかかっているかどうか、疑いがあるかないかを調べる検査です。定期健康診断や学校検診などで実施されている尿検査がこれに当たります。

採取した尿に色が変化する試験紙を浸し、尿中に糖が出ているかどうかを簡易的に判定します(スクリーニング検査)。

正常な場合、食事によって摂取した糖は、血中で一定の範囲に保たれるため、通常は尿中に糖が出ることはありません。つまり尿糖検査で陽性になった場合、糖尿病の疑いがあるということになります。

血糖値検査

朝の空腹時の状態での血液から血糖値を測定します。食後は血糖値が上がるので、正確に計測するために前日の夕食から絶食する必要があります。

血糖検査には、「随時血糖検査」「空腹時血糖検査」「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」の3つの種類があります。

随時血糖検査は食事からの時間を決めずに血糖値を測る検査、空腹時血糖検査は検査当日の朝食を抜いた空腹の状態で血糖値を測る検査です。随時血糖値が200mg/dL以上、空腹時血糖値が126mg/dL以上あると、糖尿病が強く疑われます。

75gOGTTは、食後に急激に血糖が上がる食後高血糖になっていないかどうかを調べるものです。

検査当日の朝までに10時間絶食した状態で血糖値を測ったあと、ブドウ糖液を飲んで再び血糖値を測ります。2時間後の値が200mg/dL以上であれば、糖尿病が強く疑われます。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)検査

ヘモグロビン(Hb)とは、血液内の赤血球に含まれるタンパク質の一つで、ブドウ糖と結合する性質があります。

ブドウ糖と結合した一部がヘモグロビンA1cと呼ばれ、このHbA1cの値が高いほど高血糖状態です。採決により測定を行います。

HbA1c検査は、血液中のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という物質の量を測る検査です。

血糖検査ではその時の血糖値しか分かりませんが、HbA1cを見れば検査前の1~2カ月の平均的な血糖の状態を見ることができますので、日頃の食生活の状態も反映されます。薬局やドラッグストアで最近受けられるようになってきたのもこの検査です。HbA1cが6.5%以上なら糖尿病が強く疑われます。

ちなみに、糖尿病になってしまった後に合併症を予防するためにはHbA1cを7.0%未満にすることを目標に治療を行います。

OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)

採決により空腹時血糖を測定し、ブドウ糖75g飲んだ後の1時間後、2時間後の血糖値を測定します。この検査により、最終的に糖尿病かどうかを診断します。

知ってる?献血をすると糖尿病検査が無料に!

日本で唯一の採血事業者に指定され献血を行っている日本赤十字社によると、日本の糖尿病患者数は予備軍も含めると2,000万人以上と言われています。ところが実際、糖尿病治療を受けている患者数は約1/4の500万人程度です。

日本赤十字社は、2009年3月より、献血した人に無料で行っている血液生化学検査に、糖尿病関連の検査項目を追加しました。追加された項目は、グリコアルブミン検査です。

食後でも測定可能なグリコアルブミン検査って?

グリコアルブミン検査は、血液成分のアルブミンがどれだけブドウ糖と結合しているかを調べる検査です。

通常の血糖値検査は空腹時の血糖値を測定しますが、空腹時では献血できないため、食後でも数値が変動しないグリコアルブミン検査を行うことによって、間接的に糖尿病かどうかを調べることができます。献血時に受けた血液検査の結果は、後日郵送されます。

ボランティアにもなる献血は、糖尿病検査を無料で受けたいという人におすすめです。

自宅でも糖尿病検査ができる!

糖尿病の検査で重要な血糖値は、空腹時の状態で調べることが重要です。検査の所要時間も数時間程度必要なので、前もって計画的に検査のための心構えや準備をする必要がありますね。

糖尿病検査が自宅で気軽に受けられる糖尿病検査キットがインターネット販売されています。検査や病院が苦手な人にも、精神的なハードルがグンと下がって自宅にいながら検査を受けられることが検査キットの魅力です。

方法も簡単で、検査キットに入っている器具で指先から血液を採取し、同梱のボトルに採取した血液を入れて郵送で送るだけです。

自宅でできる血液検査キットは、糖尿病のほか、がんや種々の生活習慣病、性病などを調べられるものがあります。検査キットの費用は、セットの内容にもよりますが、5,000円~10,000円程度です。糖尿病だけを調べるキットであれば、2,000円程度で販売されています。

仕事が忙しくて病院に行く時間が取れない場合や、病院が苦手な人には便利な検査方法です。ただし、自分では診断はできないので数値が高い・糖尿病が少しでも疑われる場合には早めに医師に相談しましょう。

自宅でできる糖尿病検査

特定健診で受ける糖尿病検査

糖尿病の検査

平成20年から生活習慣病を予防するため、医療保険者によるメタボリックシンドロームに特化した特定健康診査、通称「特定健診」あるいは「メタボ検診」が実施されています。

特定健診は、糖尿病検査のための血糖検査はもちろん、中性脂肪やコレステロールなどの脂質検査、肝機能検査、尿検査、心電図など、生活習慣病がないか調べるための検査が基本項目に含まれています。

ご利用の医療保険によって自己負担額が異なりますが、無料で受けられるケースから千円程度の比較的安価な費用で、糖尿病だけでなく種々の生活習慣病に関連する検査が受けられるので、対象年齢となる40歳以上の人にはおすすめの検査方法です。

まとめ

このように、検査方法や糖尿病かどうか測定・診断する方法は様々です。医師の診断を受けることに越したことはありませんが、どうしても忙しいといった場合にはまずは自宅で検査キットで測定することも早期発見につながります。

あらかじめ自分が受けたい検査について費用や準備事項を調べて、自分に合った方法を選びましょう。ただし、早めに医師の指導を受けることが大前提ですよ。

必ず主治医の先生にご相談ください。
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