医療法人による糖尿病患者のためのコラム2021年8月11日自己血糖測定と持続グルコース測定。自分で測定するメリット・デメリットとは?
血糖値の自己測定は、血糖コントロール状態を把握する最良の方法です。近年は、食事療法、運動療法、薬物療法に続く糖尿病治療第4の柱と言われています。
自己測定は食事療法や運動療法の成果の確認、医師が薬物療法の調節を行う際にも大いに役に立ちます。自己測定には主に「自己血糖測定」、「持続グルコース測定」の2つがありますが、今回はそれぞれの違いを詳しくご紹介します。
自己血糖測定(SMBG)とは?
糖尿病患者が簡易血糖測定器を使用して自ら血糖値を測ることを意味します。
国内では数多くの測定器が販売されていますが、「本体」「センサー(Test Strips)」「穿刺器」「針(ランチェット)」の4つで構成されています。
測定方法は、指先に専用の器具で針を刺して米粒の半分ほどの血液を採ります。数秒で血糖値が出てきます。
血糖値を測ることで血糖コントロールを良好に保ち、糖尿病の症状悪化、合併症を防ぐことが期待できます。その他、治療へのフィードバックもでき、効率よく治療に役立てることができます。
持続グルコース測定(CGM)とは?
2010年に保険適用された血糖測定器です。腹部などに専用のセンサーを装着し、血糖値を5分毎、24時間連続して測定します。
具体的には、お腹などの皮下組織に専用のセンサーを装着し、連続して皮下のグルコース(ブドウ糖)濃度を記録する検査方法となります。
従来型の1日に数回の自己血糖測定器による測定と比較すると、測定回数が格段に多いことが大きな特徴になります。グルコース濃度の推移(変動)を見ることができるため、より適切で安全な糖尿病治療を行うための指標となることが期待されています。
自己血糖測定と持続グルコース測定のメリット・デメリットまとめ
自己測定の良い点は、様々なタイミングで血糖値を測定することで日常生活の一つひとつの行動が血糖値にどのように影響を与えるのか一目瞭然なところです。
ただし、良い点ばかりでなく患者さんの負担が大きいという面も。使用している方の声をピックアップしてみました。
自己血糖測定
メリット
- 目にみえにくい糖尿病の病態を把握することができます
- 数値をすぐに確認できるため、食事療法・運動療法への意欲が向上します
- 良好な血糖コントロールができ、合併症の予防が期待できます
デメリット
- インスリン治療を行っていない患者さんは全て実費になるためコストがかかります
- 病院の採血ほどではありませんが、穿刺(せんし)のため多少の痛みが伴います
- 患者さんの状態によっては6~7回程度測定することも
- 血糖値がすぐに表示されるため、一喜一憂してしまう人には不向き
持続グルコース測定
メリット
- 血糖自己測定やHbA1cでは把握困難な血糖変動を随時確認できます
- アラート機能を使用することで、予期せぬ高血糖や低血糖への早期対応が可能
- 食後高血糖や夜間睡眠中の無自覚低血糖などの問題点を見つけやすい
- 機器が小さく端末操作の必要がなく、防水性も高く入浴もできます
デメリット
- 極めて稀ですが、皮膚に置くために炎症や感染を起こすケースもあります
- 自己血糖測定よりもコストがかかります
- 通常の血糖値測定と比較すると、血糖値の値が必ずしも正確ではありません
- ⾃⼰⾎糖測定よりも、受けられる施設が限られます
まとめ
ご覧いただいたように、血糖値を自己測定するメリットは数多くあります。
自分の血糖値を把握することで治療の成果が確認でき、良好な結果であれば治療へ前向きな気持ちになります。逆に、良好でない場合は反省材料になります。
また、自己測定した血糖値は、医師が患者さんの血糖コントロールを把握するための貴重な情報です。血糖値の情報を共有することで的確な治療を行うことができます。
現在は自己血糖測定、持続グルコース測定と2つの自己測定が主流です。どちらの自己測定も糖尿病治療を後押ししてくれる優れた測定方法なので、医師と相談の上取り入れてみてはいかがでしょうか?
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