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医療法人による糖尿病患者のためのコラム2020年11月16日糖尿病患者には禁忌?市販薬との飲み合わせに要注意

風邪を引いてしまったとき、まずは市販の風邪薬を飲んで治そうとする人が多いと思います。

しかし、この対処は糖尿病患者、特にインスリン注射や投薬で血糖コントロールを行っている場合は要注意です。薬効がぶつかり合って、危険な症状を引き起こしてしまうことがあるからです。

では、風邪薬に含まれているどのような成分に注意すべきなのでしょうか?

糖尿病患者が市販の風邪薬で注意すべき成分

糖尿病患者にとって注意すべき風邪薬の成分は、「プソイドエフェドリン」「エフェドリン」「メチルエフェドリン」「アスピリン」の4つです。

プソイドエフェドリン

プソイドエフェドリンは交感神経に作用して鼻粘膜の血管を収縮させ、鼻づまりを和らげる働きがあります。しかし、副作用で血圧や血糖値が上昇してしまうことも。何日も続けて服用すると、糖尿病が悪化する可能性があります。

プソイドエフェドリンが含まれている主な風邪薬・鼻炎薬は、以下のものです。

  • エスタック鼻炎カプセル
  • コンタック600プラス
  • ジキニン鼻炎AG顆粒
  • パブロン鼻炎カプセル
  • プレコール持続性鼻炎カプセル
  • ベンザブロック
  • ルル鼻炎カプセル

エフェドリン

エフェドリンには交感神経を刺激して、気道をひろげて咳を鎮める働きがあります。しかし、プソイドエフェドリンと同じように、血圧や血糖値を上昇させるという副作用が。こちらも連用すると、糖尿病が悪化する可能性があります。

エフェドリンは、以下のような市販の風邪薬に含まれています。

  • エスエスブロン錠
  • エスタックイブ
  • エスタック総合感冒
  • カイゲン感冒カプセル
  • コンタック600プラス
  • バファリンかぜEX
  • パブロン50
  • ルルアタック

メチルエフェドリン

メチルエフェドリンも、交感神経に作用して気道を広げる成分です。エフェドリンに比べれば弱いものの、やはり血圧上昇や血糖値上昇といった副作用があります。また、漢方薬の麻黄にもメチルエフェドリンが含まれています。

メチルエフェドリンは、以下のようなに市販薬に含まれています。

  • アネトンせき止め錠
  • エスエスブロン錠
  • エスタックイブファイン
  • ジキニンせき止め錠
  • ミコルデA錠
  • 葛根湯
  • 小青竜湯
  • 防風通聖散
  • 麻杏甘石湯

アスピリン(アセチルサリチル酸)

アスピリンには解熱鎮痛作用があり、多くの総合感冒薬や頭痛薬に配合されています。しかし、インスリンの働きを強めるという副作用もあるため、服用すると低血糖になってしまうことも。成分表には正式な成分名である「アセチルサリチル酸」と書かれている場合もあるので注意してください。

アスピリンを含む主な市販薬は、以下の通りです。

  • エキセドリンA錠
  • ケロリンチュアブル
  • バイエルアスピリン
  • バファリンA
  • バファリンプラス

市販薬

糖尿病患者でも安心して飲める市販薬

こうして見てみると、糖尿病患者が安心して飲める風邪薬がいかに少ないか、よく分かるかと思います。しかし安心して飲める市販薬もあります。

タケダから発売されている「ベンザ調薬A末」は、エフェドリンやアスピリンなどが含まれていない総合感冒薬です。キャッチフレーズが「生活習慣病の方のお体の状態を考えたかぜ薬」というだけあって、血圧や血糖値に対する影響はありません。

医師に相談してから常備しよう

「ベンザ調薬A末」はメジャーな薬ではないので、大きな薬局でないと置いていない場合もあります。風邪を引いても病院に行けないという時のために、常備薬としてあらかじめ用意しておくのも1つの手です。

また、常備や服用する前には念のためかかりつけの医師に相談するようにしましょう。

まとめ

風邪薬はあくまで、風邪の様々な症状を和らげるものです。風邪そのものを治す薬ではありません。それどころか糖尿病患者の場合は、副作用で体を痛めつけてしまうこともあります。

また、自己診断で風邪だと思っていても、別の病気の初期症状という場合もあります。風邪を引いたと思ったときには、なるべく早く病院にかかるようにしましょう。

必ず主治医の先生にご相談ください。
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