【放置厳禁】糖尿病末期の症状・対策まとめ

糖尿病の基礎知識
【放置厳禁】糖尿病末期の症状・対策まとめ

初期の糖尿病には、これといった自覚症状はありません。しかし、症状が徐々に進行してくると、様々な合併症が起こってきます。

その結果、糖尿病の末期には普通の日常生活が過ごせなくなってしまうこともあります。どんな症状が出てくるのか、それを未然に防ぐためにはどうしたらいいのか詳しく見ていきましょう。

糖尿病の末期ってどうなるの?

厳密に言うと、糖尿病自体には末期はありません。どんなに症状が進んでからでも、生活習慣を変えることで改善が期待できるからです。一般的に糖尿病の末期とは、糖尿病合併症が進んだ状態のことを指します。

糖尿病の代表的な合併症といえば、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害の3つが挙げられます。糖尿病で高血糖状態が続くと、糖尿病合併症も少しずつ進行していきます。高血糖状態が10年続くと、約60%の確率で糖尿病合併症の末期症状が出てくるというデータもあります。

糖尿病合併症が末期になってしまうと、血糖値を下げても症状の改善は難しくなります。その状態を「糖尿病の末期」と呼んでいるのです。

糖尿病性網膜症の末期症状

網膜とは、眼球の中にある光や色を感じる部分です。その神経細胞の間には、血管が張り巡らされています。網膜の血管は非常に細いので、高血糖の状態が続くと簡単に傷ついてしまいます。その結果、糖尿病性網膜症が発症するのです。

糖尿病性網膜症では、「視野が欠ける・ハッキリとものが見えなくなる」といった症状が起こります。症状が進むと、網膜剥離・白内障・緑内障・角膜症といった病気の原因となります。糖尿病性網膜症の末期には、完全に失明してしまいます。血糖値が下がったとしても、見えるようにはなりません。

糖尿病性腎症の末期症状

体内の老廃物を濾過し、尿として排出する働きをもつ腎臓。高血糖の状態が続くと腎臓の毛細血管が傷つけられ、濾過の機能がうまく働かなくなります。すると腎臓にさらに負担がかかり、機能が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。これが糖尿病性腎症の始まりです。

糖尿病性腎症が進行すると排出できない水分や老廃物が体に溜まり、心臓に負担がかかって高血圧を招くことがあり、糖尿病性腎症の進行に拍車をかけます。糖尿病性腎症の末期には、腎臓は完全に働かなくなります。そうなると体内の老廃物を排出するため、「人工透析治療」を行う必要があります。

ただし、人工透析はあくまで老廃物を排出する治療。透析を受けているからといって、腎臓の機能が回復するわけではありません。

糖尿病性神経障害の末期症状

糖尿病による高血糖が続くと、細胞の活動に狂いが出て神経細胞が傷ついたり、細胞の糖化で神経間の伝達がうまくいかなくなったりすると言われています。その結果、手足の感覚が鈍くなったり、細菌に感染しやすくなったりします。これが糖尿病性神経障害です。症状が進行すると、怪我をしても気づかないことも。

高血糖で血液の流れも悪くなっているので、怪我が治りにくくなります。傷口に細菌が感染すると、細菌を退治する免疫機能もなかなか追いつきません。糖尿病性神経症の末期には、体の末端部分にまで血液が行き届かなくなります。すると身体の細胞が死に、最終的には腐ってしまいます。この「壊疽」と呼ばれる状態になると、腐った部分を手術で切り落とすしかありません。

糖尿病で歯周病も悪化する

糖尿病になると、歯周病も悪化します。高血糖状態が続くことで歯茎を通っている毛細血管が傷つき、細菌に感染しやすくなってしまうからです。歯周病が悪化すると、そこから細菌が血液に乗って全身に周り糖尿病を悪化させることも。ですから、糖尿病と歯周病は、切っても切れない関係にあるといわれています。

歯周病が末期になると、歯の根が溶けて自然に歯が抜けてきます。骨まで溶けてしまうので、入れ歯治療も難しいのが現状です。

糖尿病末期に入院する3つのケース

糖尿病で入院する場合、3つのケースが考えられます。1つは血糖コントロールや食事療法がうまくいかないときに、管理の仕方や習慣づけのためにする入院です。これを「管理入院」といいます。2つ目は糖尿病や合併症の進行度合いを調べるための「検査入院」。

そして、合併症の症状が命に関わるまでに進行した場合や、緊急に治療しなければならない事態になった場合の入院です。糖尿病の末期に入院するとしたら、この「治療入院」となります。

末期には治療入院となることが多い

糖尿病による高血糖は、全身の血管や神経を傷つけます。そのため糖尿病には合併症も多く、全身のいたるところに症状が現れます。糖尿病になると鬱病などの精神病が進行することもありますし、認知症が悪化することも知られています。

糖尿病の症状が進んですべての合併症が末期になると、それこそ立つことも排泄することも話すこともできない寝たきりの状態になってしまいます。そうなると自宅での生活は難しくなります。そこまで至らなくても、糖尿病の末期には全身の血管がボロボロになっています。いつ脳出血や心筋梗塞を起こしてもおかしくありません。

命の危険があるため、基本的には入院するしかないと考えておいたほうがいいでしょう。しかし、病院は患者を勝手に入院させることはできません。どうしても自宅で生活したいと主張すれば、入院しないで済ませることはできます。

糖尿病の診察風景

糖尿病が末期まで進行して、足や手を失わないために

生活習慣からくる糖尿病の基本的な治療法は、「食事療法」と「運動療法」による血糖コントロールです。糖尿病を発症してしまっても、血糖コントロールができていれば進行を穏やかにでき、合併症のリスクを下げることも可能になります。

合併症は発症してしまうとなかなか改善が望めませんが、血糖コントロールや薬物療法でそれ以上の悪化を止めることは不可能ではありません。つまり、血糖コントロールが最大にして最良の治療法なのです。

最大の糖尿病対策は食事療法と運動療法

糖尿病は自覚症状が少なく、知らない間に進行しやすい病気です。そのため治療に当たっては、まず自分の身体がどういう状態なのかを正確に把握しておく必要があります。糖尿病発症前なら、1年に一度は人間ドックなどを受診して血糖値を調べておきたいものです。

摂取カロリーや運動量に気をつけることで、糖尿病の発症を予防できます。発症後も常に最新のデータを知っておくようにしましょう。そして、医師の指導の下できちんと食事療法や運動療法など行えば、手や足を失ってしまうような最悪の事態は避けられます。

まとめ

糖尿病は血糖コントロールによって進行を遅らせたり、合併症のリスクを下げることができますが、糖尿病合併症は一度悪化すると元の状態を取り戻すことはできません。

重要なのは、糖尿病合併症を発症しないように予防すること。発症したらとにかく進行を止めることです。くれぐれも自分勝手に判断せず、医師の指導に従って治療するようにしましょう。

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