朝食前は血糖値が高い?暁現象とソモジー効果とは

糖尿病の基礎知識
朝食前は血糖値が高い?暁現象とソモジー効果とは

寝起きの血糖値が1日の中で一番高い。。。少し心配してしまいますよね。糖尿病患者で夜よりも朝の方が血糖値が高い人は、「暁(あかつき)現象」か「ソモジー効果」の可能性が疑われます。

あまり聞き慣れない2つの言葉ですが、今回は暁現象とソモジー効果について詳しくご紹介します。

空腹なのに血糖値が高い人は要注意

定期的に血糖値を測定する人は多いと思いますが、「起床時の血糖値が高い」と医師に相談する人が意外と多いです。空腹時の血糖値が高いと、不安が募ってしまいますよね。

具体的な数値でいうと、朝一の空腹時血糖値「118mg/dl」と高めなのに、食後2時間後血糖値「109mg/dl」、昼食前血糖値「94mg/dl」のようなケースです。

空腹時血糖値の正常型、境界型、糖尿型の目安

ご存知のように血糖値とは血液中にある糖の数値をいいますが、空腹時血糖値とは健康診断等で前夜から10時間以上絶食し、朝食をとる前の時間帯の血糖濃度のことです。

空腹時血糖値の一覧は以下の通りです。

正常型 100mg/dl未満
正常高値 100~109mg/dl
境界型 110~125mg/dl
糖尿型 126mg/dl~

このように、健康な人の数値は70mg/dl~109mg/dlまで。126mg/dl以上の人は糖尿病が疑われ、ブドウ糖負荷試験などを行い糖尿病かどうか診断していきます。

暁現象、ソモジー効果の基礎知識

就寝前の血糖値より次の日の朝の血糖値が高い場合、「暁(あかつき)現象」や「ソモジー効果」の影響が考えられます。すい臓からのインスリン分泌の低下、低血糖が疑われます。

暁現象とは

暁現象とは、深夜3時頃から朝方に血糖値が自然に10~20mg/dlぐらい上昇していく現象です。熟睡中に分泌される成長ホルモンは、血糖値を上昇させる効果があります。成長ホルモンは誰でも分泌されますが、健常者の場合はインスリンの作用により相殺され血糖値に大きな影響が出ることはありません。しかし糖尿病患者さんの場合はインスリン作用が低下しているために、明け方頃に血糖値が上昇してしまうことがあります。その現象が発生するタイミングから暁現象という名前が付いています。

一言で説明するならば、暁現象は成長ホルモンの分泌よって血糖値が上昇するためにインスリンが不足する現象というわけです。

1型糖尿病では成長期の若者に多くみられますが、すい臓からのインスリン分泌が不足している2型糖尿病でも暁現象が見られることが報告されています。

対処法ですが、1型糖尿病では寝る前に長時間作用するタイプのインスリン(ランタスやレベミール)を使用すると、血糖値の上昇が緩やかになると言われています。インスリンを使用しない2型の方は、夕食の時間調整と炭水化物を減らすことがポイントになります。

ソモジー効果とは

ソモジー効果とは、低血糖の後に反動的に血糖値が上昇する現象。インスリン療法を行っている患者さんに多くみられます。ちなみに、ソモジーとは発見者の名前です。

インスリン注射の量が多いときや食事時間のズレが原因で低血糖となります。低血糖を回避しようとして糖が作り出され、その結果、高血糖という悪循環を招きます。

症状の一例として、「寝起きに大量に汗をかいている」、「体がだるい」などの場合はソモジー効果の疑い大です。

対処法ですが、就寝時の低血糖の反動で高血糖になっている場合はインスリン調整、就寝前にブドウ糖を摂取することが有効です。

まとめ

朝の血糖値が高い・安定しないと感じたら暁現象、ソモジー効果を疑ってください。それぞれ、朝の高血糖を引き起こす似た症状ですが対処法が異なります。

この2つの見極めポイントは、夜中の3時ぐらいに血糖値を測定すること。夜の3~4時に低血糖が起きていればソモジー効果。そうでなければ暁現象が考えられます。

いくつか対処法をご紹介しましたが、必ず主治医と相談して行ってください。

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