お酢は昔から体に良いとされ、テレビのバラエティ番組や雑誌の特集でも頻繁に取り上げられてきました。お酢を使った健康食品も数多く発売されています。
お酢の効果としてよく言われているのは、食欲増進・疲労回復・美肌・便秘解消・免疫力アップ・内臓脂肪の減少・カルシウムの吸収促進・血圧の降下・血糖値の抑制など。改めて列挙すると、かなり多岐にわたります。
お酢に血糖値を抑える効果があるなら、もっと積極的に取り入れたいという糖尿病患者さんも多いはずですが、本当にそんな効果があるのでしょうか?
お酢が血糖値を下げるというのは本当?
お酢が体に良いとはいわれていても、学術的な研究はあまり行われていませんでした。そこでお酢の大手メーカー「ミツカン」は、2006年に昭和女子大学との共同研究で、お酢の血糖値抑制効果についての実験を行いました。
食物を摂取した後は、健康な人でも血糖値が上がります。健康な人の場合、血糖値が上がるとインスリンが分泌され、2~3時間程度で血糖値は元に戻ります。
しかし、糖尿病患者さんはインスリンが分泌されなかったり、分泌されても効果的に働かなかったりして、血糖値の高い状態が続いてしまうのです。
ところが食事と一緒にお酢を摂ると、食後の血糖値上昇が緩やかになることが分かったのです。この研究結果は、日本臨床栄養学会誌にも掲載されました。
どのくらいのお酢を摂れば効果があるの?
毎日大さじ1杯(15ml)でのお酢を摂ることで血糖値の上昇が抑制されることが、科学的に証明されました。
お酢は熱を加えても変質しにくい物質なので摂りかたは自由です。食事のメニューに酢の物を加えたり、煮込み料理の味付けに使ったりと、様々なアレンジができます。お酢を使ったサワードリンクを飲むのもいいでしょう。
大さじ1杯のお酢なら、毎日でもそれほど苦労することなく摂取できます。また、お酢を使うことで味にメリハリがつくので減塩も可能。血糖値コントロールの強い味方として、食事にお酢を取り入れてみましょう。
どのお酢が一番効果が高いのか?
お酢は原料によって、大きく2種類に分けられます。米・小麦・大豆・とうもろこしなどを原料にした「穀物酢」とリンゴ酢やブドウから作られたバルサミコ酢などの「果実酢」です。
お酢が血糖値の上昇を緩やかにするのは、お酢に含まれている酢酸の働きによるものです。その含有量を見てみると、穀物酢が4.0~4.5%なのに対して、リンゴ酢は約5%、バルサミコ酢に至っては約6%も含まれています。
つまり、リンゴ酢やバルサミコ酢のほうが、穀物酢より効率よく酢酸を摂取できるのです。
さらに、りんご酢にはカリウム、バルサミコ酢にはポリフェノールといった、健康に有効な成分が含まれています。果実酢のほうが一般的に穀物酢よりも味がまろやかで、サワードリンクなどにも使いやすいという特徴もあります。
味については好みがあると思いますが、果実酢を利用して血糖値コントロールを試してみませんか?
お酢を摂取するときの注意
お酢は刺激の強い調味料です。健康に良いからと空腹時に飲むと、食道や胃の粘膜を痛めてしまうことがあります。
高濃度のお酢をそのまま摂ると、歯にも悪影響を及ぼします。酸によって歯を覆っているエナメル質が薄くなり、虫歯になりやすくなるためです。
また、いくらお酢に血糖値抑制効果があると言っても摂り過ぎは禁物。大量に摂取したからといって、お酢の効果が高まるわけではありません。
まとめ
今回はお酢の血糖値抑制作用に注目しましたが、実は血圧を抑える効果についても科学的に実証されています。お酢の血圧降下作用を活かした、特定保健用食品も発売されています。
糖尿病の合併症のひとつに高血圧があります。お酢はその高血圧にも効果があるのですから、まさに糖尿病患者さんの強い味方といえます。
毎日の生活に上手くお酢を取り入れて、血糖や血圧をコントロールしてみましょう。