糖尿病であると診断された多くの患者さんは「まさか自分がなるなんて」と感想をもらす人が多いです。診断後……時間が経過すると「不安」「孤独感」「失望感」にさいなまれます。
糖尿病にならないためには、日々の生活習慣を見直し予防に努めることが重要です。糖尿病になりやすくしてしまう生活習慣をひとつひとつチェックしていきましょう。当てはまるものが多かった人は、糖尿病予備群である可能性も高いので要注意ですよ。
合言葉は「先手必勝」!生活習慣を見なおそう
糖尿病の進行には「初期」「中期」「後期」などさまざまな段階がありますが、どの段階にも共通しているのが「先手必勝」です。糖尿病では2次予防における「早期発見・早期治療」がもっとも重要であると言われています。
健康診断で「血糖値がちょっと高めかな?」というレベルでも油断せずに症状が出ないうちに先手を打つことが重要です。もしも合併症があらわれても初期段階であれば十分に対処は可能です。病状の進行・段階に関係なく、悪い生活習慣を改善していくことが重要です。
要チェック!糖尿病になりやすい生活習慣していませんか?
糖尿病患者さんに多く見られる好ましくない10の生活習慣をピックアップしました。このような生活習慣を続けていると、糖尿病になるリスクが高まる可能性があります。当てはまる習慣があるかどうかセルフチェックをしてみて、もし当てはまる生活習慣があれば、早速改善しましょう。
チェック1:お腹いっぱい食べてしまう習慣がある
お腹いっぱいまで食べてしまう習慣のある人は、知らぬ間にエネルギー過多になっています。食べるときは腹八分目、もしくは腹七分目がポイントです。白米のおかわり、あと一皿、あと一口欲しいというところでやめましょう
チェック2:間食または夜食をとることが多い
間食や夜食はエネルギー過多の原因の一つです。また常に血糖値が高い状態が続き、その血糖値を下げるためインスリンが分泌し続けた結果、膵臓が疲れて機能低下をおこしてしまいます。
スナック菓子、カップ麺など手軽に食べられる食品のストックは控えて、誘惑を自ら断絶しましょう。食べたくなった時は水や無糖のお茶を飲むなどして、一呼吸置くのがよいでしょう。間食・夜食をとる習慣を断ち切りましょう!
チェック3:魚を食べる習慣がない
種類や部位によって差はありますが、全般的に魚はお肉に比べてエネルギーが低い食材です。また魚に含まれているn-3系多価不飽和脂肪酸には血液中の中性脂肪や血糖を下げる作用があると言われています。
しかし脂質が多く含まれるマグロ(トロ)やサンマばかりを選んで食べるのは避けた方が良いかもしれません。摂取エネルギー過多になってしまいます。どうしても魚が苦手な方は、牛肉なら赤身、豚肉ならヒレ、皮を取り除いた鶏肉など、脂質の少ない種類のお肉を選択するのも良いでしょう。
しかし、基本は色々な食品をバランスよく食べることが良いとされています。日常的に魚を食べる習慣がない方は、ご自分にとって食べやすい魚介類を選び、週に2回は魚を食べるように心がけてみましょう。
チェック4:アルコール類は酔うまで飲まないと気が済まない
アルコールは血液中の中性脂肪や血糖をあげたり、エネルギー過剰の原因になります。日本酒換算で一日一合以下にして、3日に1回は休肝日を心がけてください。
チェック5:果物を食べる習慣がない
果物はビタミンCと食物繊維の宝庫。しかし、果糖が多いため摂りすぎるとエネルギー過多の原因に。果物は一日一回、りんごなら中サイズ1/2個、みかんなら2個以下が理想です。また、干し果物やシロップ漬けの缶詰はビタミンの含有量が少なく糖度が高いので出来れば控えましょう。
チェック6:運動は好きではない
早足での歩行は最も気軽にできる運動です。肥満コントロールのみならず、血液中の中性脂肪や血糖を安定させる作用があります。一日20分以上を目安に、早足で歩きましょう。
また、階段の上り下りも立派な運動の一つ。駅やデパートなどではエスカレーター、エレベーターを使わず、階段を積極的に利用しましょう。
チェック7:たばこを吸う習慣がある
たばこを吸う時点で動脈硬化やその他多くの病気の引き金となります。ニコチンガムやニコパッチという禁煙の補助薬も登場しています。また、保険適用で治療できる「禁煙外来」もありますので、特に「禁煙したいけど、なかなか止められない」という方は、専門医に相談をしてみるのも良いでしょう。この際、健康の最大の敵であるタバコを一気に断絶しましょう。
チェック8:納豆など大豆食品はあまり食べない
豆腐や納豆などの大豆製品は低エネルギーかつ良質なタンパク質です。また大豆に含まれている油分の約半分を占めるリノール酸には、血糖を安定させる作用があると言われています。前述の「魚を食べる習慣がない」方は、お肉を控えた分大豆製品を食べることも良いでしょう。
控えたお肉の分のタンパク質を補うことができ、かつエネルギー過多を抑えることが期待出来ます。ぜひ積極的に大豆製品を取りましょう。但し、油揚げや揚げ出し豆腐などは、油で揚げているためエネルギー量がとても高くなっています。くれぐれも摂り過ぎには気を付けましょう。
チェック9:自分の適正体重を知らない
食べ過ぎも、食べなさ過ぎも、健康の障害となります。まずは自分の適正体重を知り、適正体重を維持するために必要な摂取エネルギーを摂るようにしてください。
- 適正体重・必要なエネルギーの計算方法
- 適正体重=身長(m)×身長(m)×22
- 摂取エネルギー=適正体重×身体活動量※
※身体活動量:身体を動かす程度によって決まるエネルギー必要量のこと
軽労作(デスクワークが主な人):25〜30kcal/kg標準体重
普通の労作(立ち仕事が多い人):30〜35 kcal/kg標準体重
重い労作(力仕事の多い人):35〜 kcal/kg標準体重
(出典:日本糖尿病学会編、糖尿病治療ガイド)
チェック10:野菜は滅多に食べない
野菜も低エネルギーで、血液中の中性脂肪や血糖をあげない食品です。一日に350g以上とることが理想です。生野菜だと両手に一杯程の量になります。野菜が苦手という人は野菜ジュースでもOK!果汁が入っていないものを選択すると更に良いでしょう。また、漬け物は塩分のとりすぎになることもあるのでほどほどに。
まとめ
糖尿病の患者さん、予備軍の可能性のある方はこれまでの生活習慣の中に糖尿病発病の原因が潜んでいたはずです。糖尿病の治療の柱は、生活習慣の是正です。生活習慣を正すことで糖尿病が快方へと向かうケースも多数あります。
「食事療法は面倒だ」「運動する暇がない」「たばこをやめても酒はやめられない」。今までの生活習慣を一気に変えることは至難の業という人も多いことでしょう。まずはできることから1つずつ生活習慣を変えてみましょう。