医療法人による糖尿病患者のためのコラム2024年3月11日食後の眠気は糖尿病のサイン?ひどい眠気に悩まされている方へ
食後の眠気は多くの人が経験したことがあるでしょう。生理的な現象として食後の眠気は見られますが、糖尿病が原因で起こっている場合もあります。糖尿病と眠気の関係について詳しく説明し、糖尿病でみられる眠気以外の初期症状や眠気がみられる糖尿病以外の病気ついてもお伝えします。
糖尿病と眠気の関係
「食べた後に眠たくなる」経験を一度は皆さんもしたことがあるのではないでしょうか。食後には、血流が消化器官に集中して副交感神経が活性化し、リラックス状態となります。これにより、一時的な眠気や倦怠感が生じることがありますが、眠気が特に強い、頻繁に起こるという場合は、糖尿病のサインかもしれません。
糖尿病の場合には、急激な血糖値の変動が強い眠気を引き起こすことがあります。血糖値と眠気の間にはオレキシンという神経伝達物質が関係していることが報告されています。1)オレキシンは覚醒状態を維持する役割がありますが、血糖値が上昇すると活動が低下して眠気が増します。健康な人は食後の血糖値の上昇も緩やかですが、糖尿病では、食後に血糖値が急激に上昇して下降する血糖値スパイクがみられ、強い眠気が引き起こされる場合があります。
血糖値スパイクは食後のみにみられるので、健康診断で測定する空腹時血糖値では数値として異常が現れにくく、気づかれにくいのが特徴です。
また、食後の血糖値の上昇に対して、血糖値を下げようとインスリンが分泌されますが、2型糖尿病の初期ではインスリンが適切に分泌されず、インスリンの分泌の反応が遅れたり、過剰に分泌されたりします。過剰なインスリン分泌によって低血糖状態となると、強い眠気や倦怠感を感じることがあります。
眠気以外にもある糖尿病の初期症状
糖尿病の初期症状としては、眠気以外にも次のような症状が見られます。
- 口の渇き
- 水分を多くとる
- 頻繁にトイレに行く
- 体重の減少
- 疲れやすい
これらの症状が見られた場合には、受診し検査を受けることが必要です。しかし、糖尿病の初期は自覚症状がない場合も多いため、定期的な健康診断を受けて早めに糖尿病を発見し、適切な治療を受けるようにしましょう。
その他、やたらと眠気に襲われたら疑う病気
糖尿病以外にも、眠気が出やすい病気として次のものが挙げられます。
過眠症
睡眠時に呼吸が止まったり、浅くなったりして十分な睡眠をとれずに日中に眠気が出る睡眠時無呼吸症候群や夜間に十分な睡眠をとっても眠気が突然襲ってきて眠ってしまうナルコレプシーどの病気があります。過労やストレスによって眠気が出る場合もあります。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが少なくなると代謝が低下して眠気や倦怠感、疲れが出やすくなります。
脂肪肝
肝臓の中の中性脂肪が増加して脂肪肝になると、血流が悪くなり、細胞に酸素や栄養を運びにくくなり、眠気やだるさがみられます。
貧血
貧血で血液中の酸素が不足すると、脳の活動が低下して眠気が出やすくなります。
月経前症候群(PMS)
女性ホルモンの変動によって、月経前に精神的・身体的な症状が見られる月経前症候群(PMS)では眠気の症状もみられます。
e-ヘルスネット 昼間の眠気 -睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなどの過眠症は治療が必要
日本内分泌学会 甲状腺機能低下症
ファイチ 女性を悩ます貧血症状
日本産科婦人科学会 月経前症候群
まとめ
食後の強い眠気が頻回に起こる場合は、糖尿病のサインかもしれません。食後にみられる血糖値スパイクや2型糖尿病の初期には強い眠気がみられることがあります。眠気が出すい病気は糖尿病のほかにもあるので、食後の強い眠気に悩まされている場合やいつもと違う体調が続くときには医療機関で相談しましょう。
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