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医療法人による糖尿病患者のためのコラム2023年4月6日早期発見が鍵!糖尿病性腎症で透析患者にならない唯一の方法

全国で31万人余りの患者さんが受けている透析治療。その1番の原因が、糖尿病の三大合併症の一つである糖尿病性腎症です。

糖尿病性腎症が原因で透析治療を受けている患者さんは全体の約38%、新しく透析治療を始めた患者さんに限ってみると約44%にのぼり、その割合は年々増加する傾向にあります。

そんな糖尿病性腎症は、実際にどのような症状が出るのでしょうか?予防のためにも、実際に症状が出る進行段階から発見方法まで詳しくみていきましょう。

糖尿病性腎症ってどんな病気?

糖尿病性腎症とは、血糖が高い状態が長く続くことによって、しだいに腎臓の機能が失われていく病気です。糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症とともに、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。

糖尿病性腎症になる原因について詳しくは、こちらの記事をご参考下さい。
https://oasismedical.or.jp/touseki_column/kisochishiki/tonyo-zinsyo

腎臓が老廃物をろ過してくれる

腎臓は、血液をろ過して老廃物を取り除き、尿として体の外に排出するという大切な働きをしている臓器です。腎臓には、血液を通して、体中の細胞からいらなくなった酸素と栄養を届ける血液は細胞に酸素と栄養を届けるかわりに、いらなくなった老廃物を細胞から受け取って腎臓に運びます。

老廃物で汚れた血液は腎臓でろ過され、きれいになって再び体内をめぐりますが、腎臓の機能が失われると、老廃物を取り除くことができなくなります。そうなると、汚れたままの血液が体中を流れることになりますから、当然、体にも悪い影響が出てきます。命を落とす危険性もあり、透析治療を受けなければ生きていけなくなります。

糖尿病性腎症の自覚症状と進行段階の関係

糖尿病性腎症は、じわじわと進行していく病気です。最初のうちは自覚症状はほとんどありません。糖尿病性腎症の代表的な症状としては、むくみや疲労感などが知られていますが、こうした変化を感じる頃には、病気はかなり進行してしまっているのです。

糖尿病性腎症の5段階指標

糖尿病性腎症は、病気の進行の度合いによって5段階に分けられています。

第1期(腎症前期)

  • 自覚症状はほとんどありません。
  • 糖尿病と診断されればこの段階です。血糖をコントロールする治療を行います。

第2期(早期腎症期)

  • 自覚症状はほとんどありませんが、血圧が高くなることが多いです。
  • 血糖を厳しくコントロールする治療に加え、必要に応じて血圧を下げる治療も行われます。

第3期(顕性腎症期)

  • 腎機能が急速に低下し、むくみなどの症状があらわれます。
  • 第2期の治療に加えて、タンパク質や塩分の摂取も制限されます。

第4期(腎不全期)

  • 腎臓の機能が著しく低下し、貧血や倦怠感・疲労感、手足の痛みやしびれ、慢性的なむくみなどの症状が現れます。
  • 透析治療を始めることを前提とした治療が行われます。血圧を下げる治療に加え、食事も低タンパク食に変わります。

第5期(透析療法期)

  • 透析治療または腎移植が必要になります。

要チェック!尿検査で糖尿病性腎症を早期発見しよう

糖尿病性腎症は、自覚症状なしに進行する恐ろしい病気ですが、尿検査によって早期発見することが可能です。腎臓の機能が低下してくると、腎臓でろ過しきれなくなったタンパク質が少しずつ漏れ出し、尿に混じるようになってきます。

この尿に混じったタンパク質を調べるのが「微量アルブミン尿検査」です。この検査では尿に混じったごく少量のタンパク質を検出できるので、糖尿病性腎症の早期発見に有効とされています。ちなみに「アルブミン」とは、尿に混じるタンパク質の一種です。

アルブミンの数値が30未満であれば正常です。30~299になると「微量アルブミン尿」の状態となり、上の病気の進行度合に当てはめると第2期(早期腎症期)に相当します。アルブミンの数値が300を超えると「顕性アルブミン尿」になり、この頃にはもう、病気は第3期(顕性腎症期)まで進行してしまっています。

まとめ

糖尿病性腎症は、第3期まで進んでしまうと、その後の進行を遅らせることはできても、腎臓をもとのいい状態に戻すことはできません。逆に言うと、第2期までに病気を見つけて適切な治療を行えば、腎臓の状態をよくすることができます。

糖尿病性腎症の症状が出るのは実際に病気が進行してからなので、定期的に検査を受けて早期発見することが最重要です。

発見した時にはもう手遅れ、なんてことにならないよう、定期的に微量アルブミン検査を受け、糖尿病性腎症の兆候を見逃さないようにしましょう。

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